瀧口金吾さん
Nature(Issue 7211, 7221, 7226)を紹介
個人の趣味的にはNegative refractive indexを持つ物質の話(7211のp376)をもう少し聴きたかったところです。プリズムの図を見た限りの理解ですが、これで凸レンズをつくると1点で光を広げることができるのではないでしょうか。透過率の問題もあるのでどのような応用ができるかまだこれからというところでしょうが、光学顕微鏡などが大きく変わる可能性が示されています。松岡研究室と奈良先端大のグループが独立に発表したジベレリン受容体の構造決定の仕事(7221のp459とp520)は、複合体の構造解析の難しさと、リガンド受容・構造の関連の戦略など、面白い点が多々あると感じました。また、カメの甲羅がどのような由来に基づいて作られてきたかという古生物学の論文(7221のp497)からは、一つの化石の発見がものの見方を大きく変えることを改めて知らされました。
寺島浩行くん
EMBO J(Vol27, #23,24)を紹介
OBの論文が紹介されるのを見るのはいつもながら嬉しいことです。p3081の塩見大輔くんの仕事は、細胞骨格と言い切っている定義に個人的には抵抗を感じますが、形態にかかわる新規の因子を同定したという非常に良い仕事だと思います。膜を貫通しているタンパク質がどのような機構で繊維状になるのかのメカニズムが示されるといいですね。p3235の双極紡錘体に関与する因子の仕事(dynein-dynactinとEg5が拮抗して働いている)は、両方の阻害で双極性が回復するという話でしたが、それでは両者とも働かないときに何が起こっているのかまではよくわからず、この分野はこれから深める問題が山積していることを知らされる面白いものでした。