2006年 6月 5日
楠本さん Nature no.7079, no.7078を紹介
endocytosisの最初のステップで働くと考えられるeisosomeと名付けられた複合体の話。Pil1,Lsp1,Sur7という3者の局在と相互作用の結果から、これらが複合体を作り、endocytosisの起こる位置の決定等に関わるのではないかとのことでした。この手の話は何が最初で、どうやって自分の場所を決めているか、詳しい役割が非常に気になるところです(no.7079 p998)。
セルサイズの制御の話は網羅的な解析の結果をまとめた論文でした。flow cytometryを用いた解析方法のアイディアがなかなか面白かったです(no.7079 p1009)。
谷ヶ崎君 Science no.5777, no.5778を紹介
YersiniaのYopJの話。YopJはホストのMAPK経路を止めるのですが、その方法というのが、kinaseのリン酸化部位をアセチル化することにより、kinaseの活性を阻害するそうです。わかりやすい直接的な阻害方法だし、この修飾は初めて聞いたのでなかなか興味深かったです(no.5777 p1211)。
檜作君 PNAS vol.103 no.4, vol.103 no.21を紹介
分4のメンバーにはなじみが深いリチャードの研究室からべん毛モーターのトルク発生ユニットの数をより精確に見積もった論文が出ていました。タイトルに「最大数は少なくとも」と入っていて、何となく突っ込みを入れたくなるタイトルでした。もちろん、意味はわかるし、そう表現するのが正しいのですが。なんとなくです、なんとなく(vol.103 no.21 p8066)。
かなり化学していたのですが、ヘム分解の話はわかりやすかったです。異分野もたまにはいいですね(vol.103 no.21 p8030)。
Label-freeのDNA-hybridizationの話は、カーボンナノチューブを利用し、ssDNAを巻き付けて、そこにhybridizeさせるというものでした。検出系がconductanceだというのがなるほどと思いました。しかし、コストはほんとに安くなるのかな。カーボンナノチューブっていくらぐらいなのでしょう?(vol.103 no.4 p921)
坂野さん Cell no.124(3),no.125(3)を紹介
BacillusのBacterial Cannibalism Toxinの話。胞子形成時に胞子形成をしない同属の菌をToxinで殺してしまうという現象があるのですが、胞子形成が始まっている菌が、Toxinに対する免疫タンパク質を発現するシグナル伝達の仕組みが明らかとなりました。
胞子形成自体、かなりエネルギーが必要なそうで、生き残りやすくするためにこのシステムが存在するようですが、生物は本当にいろいろな戦略をとっていているのだなと、感心しました(no.124(3))。
関係ないですが、前回の僕の講評のときに「誰か僕の使っている菌の全ゲノム配列の決定をしないかなー」とここでぼやいていたのですが、およそ2ヶ月前に公開されていました。ぼやいてみるものですね。
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