2006年 6月26日

人によって講評の位置づけがまちまちですが、ワタシは紹介を聞いて、「へぇ」と思ったことを書こうと思います。

今日の発表は全員分4の方で、細菌オンパレードでした。

太田さん (Nature: vol.440 (7080), vol.441 (7093)から)
 磁性細菌のおはなし (No.7080 pp.110)。マグネトソームが菌の軸に沿って鎖状に並ぶために、MamJという因子が関わっている。また、軸に沿って存在するフィラメント様タンパクがあって (MamK)、こいつはMreBのホモログらしいです。あぁまたMreBですか。ここのところ、細菌関係の話題にひっぱりだこですね。細胞骨格にMreB、局在にもMreB。そして、マグネトソームにまでMreB・・・あぁMreB。
 あと、ニードルの長さのおはなし (No.7093 pp.637)、これは、分子ものさしモデル、カップモデルに続いてあたらしいモデルなんでしょうか。いろんなモデルを考えつくなあと感心。それ以上に、そんな戦略を自然に使っている細菌に、もっと感心。

誠司さん (PNAS: Vol.103 (5), (6), (7)から)
 べん毛基部体のrotorとstatorの相互作用と回転をモデリングしたというおはなし (no.5 pp.1260)。いろいろパラメーターを定めて、実験的・理論的にマッチしたかたちで回転モデルを提唱していました。いちばん印象的なのは、自分の論文を引用してモデルを立てていたと嬉しそうに紹介していた誠司さんでした。自分の論文が引用されるのって本当に嬉しいですよね。心が震えます。
 もう一つ、no.6 pp.1723より、きれいな結晶を出すにはphospholipidがある程度存在していたほうがいいそうです。Kabackさんが言ってるんだからきっと間違いない。きれいに精製しすぎなくても大丈夫(?)という、結晶屋さんには朗報なんでしょうか。

入枝くん (PNAS: vol.103 (3), (22)から)
 決してメインではなかったんですが、土壌バクテリアの多様性パターンを調べたというおはなし (no.22 pp.626)。pHが多様性の限定要因というのは納得できるはなしですが、ペルーのアマゾンは多様性が少なかったというのが、ちょっと驚き。どんどん進化してそうなのに。あと、no.22 pp.732は、胃の中の細菌の生物相を調べていました。128種類。こんな過酷な環境の中でも、これだけたくさんのバクテリアが息を潜めながら生きているんですね。

勝さん (Cell: vol.124 (6), 125 (4)から)
 バチルスの胞子形成時にDNAがダメージを受けると、ちゃんとそれを修復してから胞子形成が遅れて行われるというおはなし (vol.125 pp.679)。DisAがチェックポイントとして働いており、胞子形成関連のタンパク質と相互作用もしています。おもしろいのは、DisAが激しく動き回るようで、DNAがある場合はその動きがストールされるそうです。Figを見ると、200 msごとに撮られている画像で、信じられないくらいDisAが動いていました(激しいのはセルの端から端にとんでたりとか)これは、単純拡散でもなく、MreBとかつぶしても動くということで、いったい何なんでしょうか?それ以前に、DisA自体は、何者なんでしょうか?不思議です。

今日の紹介、総じて、バクテリアはやっぱりすごい、というのが感想です。


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