2006年10月30日

nature (楠本さん)Vol. 442 no. 7100, 7101, 7103
p.475 クライオトモグラフィーでチューブリンを見た話。今回の観察によってこれまでに見られなかったマイクロチューブルの分子構造や電子密度などを見ることができた。以前に私も「マイクロチューブルの構造をクライオトモグラフィーで観察しました」というサイエンスに掲載されていた論文を紹介しました。
最近、この方法を用いてたんぱく質の構造を解析し、これまでに見られていなかったものが見えた、というのを結構よく聞きます。確かに、画期的な観察方法みたいだけれど、本間先生が言っていたように、今度は、前の結果よりもこの方法で得られた結果が正しいと言い切れるのかどうか、それは微妙だなあと思いました。でも、クライオトモグラフィーを用いて構造を見た、という論文が、ネイチャーやサイエンスによくされているので、最近ブームなんだなあと、そしてこのような論文を多く目にするようになって、たんぱく質を実際に目で見れるというのはなかなか魅力的だなあと思う今日この頃です。
p.709 光ピンセットを用いてチューブリンの重合を見てみようという話。XMAP215を用いたときのチューブリンの重合・脱重合のグラフが、対照的な階段状になっていて、とてもきれいというか理想的なデータだなあと単純に思いました。

PNAS (谷ヶ崎さん) Vol. 103 no. 26
p.9785 色づくアミノ酸の話。たんぱく質を光らせて観察するには今までGFPやdyeを用いてきたが、環境の変化に反応して、発色するアミノ酸を標的たんぱく質に組み込んで可視化しようというもの。
現在、私の研究も、GFPを用いてレセプターを観察しているのですが、結構大きいたんぱく質なので、局在を見るときアーティファクトな影響はないとは言い切れないので、この蛍光アミノ酸を用いた観察をやってみたいと思いました。でも、このアミノ酸によって、標的たんぱく質の構造に変化がおきないのかという問題が出てくる気がするのですが・・・
p.9861 piliの構造と重合の話。PapAが次のPapAに引っ掛けてしっかりつながれ一本のpiliになっているということで、私が思っていた以上にpiliは頑丈にできているような気がしました。

Cell (滝口陽子さん) Vol. 126 no. 1, 6
コーロバクターの細胞分裂と染色体均等分配を調節しているMipZの話。最初MipZはストーク側、FtsZはべん毛側に存在している(どういう理由かはわからないらしい)が、MipZの濃度が上昇してくると、半分はべん毛側にも移動し、そのためFtsZが極から追い出されて細胞の真ん中に移動し、Zリングを形成する。
でも、MipZの量だけでよくFtsZがちょうど真ん中に局在できるなあと思いました。ほかにもその局在の原因になるのもがあると思うのですが・・・
p.1095 ヒスチジンセンサーキナーゼLuxPQがオートインデューサーを結合したときの構造が解けました(ペリプラズム側)という話。その構造が非対称的であるというのは確かに珍しいと思いました。
そして、みなさんも言ってましたが、オートインデューサー濃度が高いときのモデルでのリン酸基転移の矢印は変じゃないのって感じでした。

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