2006年11月27日
今回のNatureは田島君で、液体レンズの曲率を何かのポリマーの伸縮で制御する話、鳥のクチバシの長さ制御機構の話、と酸味レセプターの話がメインでした。
液体レンズを微妙な温度変化で制御する系を開発しているらしいが、レンズって光があたって熱が少なからず生じる部位だと思うからこの制御系って実用できるのかギモンだ。
酸味センサーは結局pH変化を感知するらしくこのタンパク質は体の他の部位にも発現しているらしい。味覚レセプターの発見の話はそれはそれで面白い。
だけどそれよりも個人的にはなんで酸っぱいものをなめるとあの感覚が引き起こされるのかが知りたい。髄液が酸性化しても酸っぱく感じるようになっているのだろうか、とか想像してみる。そういえば酸っぱいものが甘く感じられるミラクルフルーツなるものがあるが、どういう原理だろうか。話によるとミラクリンという物質がレセプターをブロックして酸味を感じさせないということになっているが、分子生物学的には「レセプターがpH変化により構造変化するのミラクリンが防ぐ」みたいな直接的な働きでもあるのだろうか、それとも細胞内のシグナル伝達のブロックなのだろうか、とかも妄想してみる。
Scienceは太田さんの担当で、興味深かったのは最初に紹介されたY染色体上のSu(のsense RNA?)をSuのanti-sense RNAが機能阻害するという話。
細かいことはよく分からなかったが、sense RNAとanti-sense RNAが結合してSuがTranslateされないとかいうことだろうか。やはり疑問はこのsiRNAの発現がどのように制御されているかというところだと思う。
やっぱりこのsiRNAのプロモーターとかがSu遺伝子の反対側のDNA鎖上にあったりするのだろうか。こういうのってウイルスの遺伝子が多重に配置されているのとはちょっと違うけど、遺伝子の進化した一つのメカニズムの例としてはなかなか面白いとおもう。
PNASは伊藤さんでMyosin-Vとpeptidaseの特異性を調べる系の開発が二大話だった。
一つ目は、Myosin-Vを前や後ろに引っ張ってその速度(というか引っ張りやすさ?)を計測し、ATP非存在下での結果と比較することで、ラチェットモデルを推すデータの提示がされた。とても簡潔な論理と結論で、久しぶりにリニアモーターの話題で納得できた。
門外漢としての一つのギモンは、ミオシンの真中にビーズを付けて引っ張る実験でforward方向に引っ張った場合、ATPのサイクルが進行速度の rate limitingになるということだが、あくまでも後ろ足がぐるっと回って前足になるのはビーズで引っ張っていてもファクターはブラウン運動だと思うのだがその辺にはどういう秘密があるのだろうか。前足のarm部分が緩むと勝手に後ろ足がブンと回ってくるとか?それとももともとフリーなarmはぐるぐる速く回っているものなのかな?
二つ目の peptidaseによるポリペプチド鎖の切断を蛍光で計測する話では、酵素の活性の速度なんかも相対的に比較することが出来たりして感心した。こういうのってやったもん勝ち的な研究だけど、実用的なテクノロジーの開発ってインパク値(←古?)高い。
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