小嶋さん:Nature 2008 vol. 451 no. 7179, 7182, no. 452, no. 7183, 7184
1)時を旅する遺伝子(蛋白質)のお話。活性が温度によって影響を受ける、伸張因子(EF)に関して、現在の生物と、昔からいる生物を比較し、その一時配列などからコンピューター上で分岐した際の蛋白質を再現し、その活性を調べた。これらの解析から大昔は地球上が高温であり、徐々に冷えてきた様子が、蛋白質の温度による活性からも見ることができた。再現した蛋白質は実在したんですかね〜。非常に興味があります。
2)電子顕微鏡で単粒子解析からヘリックスのバックボーンが見えてきたという話。巨大Complexや結晶化が難しいような試料に対して大きな可能性を秘めた方法であり、今後の推移も見守りたいですね。
3)周期的なメチル化のお話。DNAのメチル化に周期性があることを知らなかったので面白かったです。それに同調あるいは、位相がずれている因子を同定して、その制御機構を提案している。生体内でのオシレーションは何でだろう?とかどうやってそうなっているんだろう?など考えることが多く、面白いですね。
滝口陽子さん:Science 2008 vol. 320 no.5875, 5876
1)ゴルジ複合体を形成するために、膜小胞間を繋げる蛋白質、ゴルジンのお話。相手の大きさを関知して、繋げるかどうかを決定しているらしい。2)多くの動物は、膜中で、細胞内側に面するPSが出ているかどうかをアポトーシスの指標として認識している。アミノリン脂質転位酵素1(TAT-1)がPSの局性を規定する要素であることと、ウイルスがアクチン豊富な糸状仮足に結合し、それに沿ってウイルスが細胞体へと移動し、これはウイルス膜上のPSの存在によって、アポトーシス細胞の死体の取り込みを模倣してということがわかってきた。ウィルスの巧妙さが伝わってくる論文でした。
鈴木君:PNAS 2008 vol. 105, no. 20, no. 21
ツールを2つ。
1)メンブレントポロジーを決める新たなツールということで、膜蛋白質のどこが埋まっていて、どういう構造をとっているかは非常に興味があることろですが、400種類ぐらいの蛋白質で誤差8%ぐらいの極めて高い精度で決定できるソフトを作ったらしい。すごい成果だと思います。今度使ってみようと思います。
2)細胞表面に存在するクラスターを見るための新しい方法ということで、ターゲット蛋白質をHRPでラベルして、それにarylazide biotinをかけると、その周辺にある蛋白質も同時に標識されるというお話。まだ標識されるものの範囲がひろい様ですが、コントロールできれば強力なツールになりそうです。