2010年 2月8日

本間さん Nature 7271, 7272, 7276, 7280
・印象的だったのがSec輸送系において、シグナルペプチドがトランスに作用するという話(#7271, p363)。
シグナルペプチドが無くてもペプチド鎖はSecAと結合できるようで、シグナルペプチドはSecAを活性化して輸送を促進するとのことでした。当たり前のように、シグナルペプチドが輸送系にペプチド鎖を導くと考えていたので驚きました。
・走るときに靴の有無で着地が変わるという話で、靴を履くと踵から、履かないとつま先から着地するという報告(7280, p531)。
そういえば、短距離走用のシューズってハイヒールのヒールが無くなったような形だったり、スパイクがつま先部分にしか付いていなかったりするので、そっちの業界ではすでに当たり前の話だったのかもしれません。

野々山さん PNAS vol. 107 #1,2
・非運動性の歯周病菌Porphyromonas gingivalisにおいて、ジンジパインという病原性物質を分泌する経路に関わる遺伝子があり、滑走運動を示す別の菌Flavobacterium johnsoniaeでそのホモログを潰したら運動能がなくなったという話(#1, p276)。やはり、分泌系と運動器官の関係は深いなぁと思いました。
・以前、マイコバクテリアがエンドスポアを形成するという報告があったけど、あれはやっぱり間違ってるという報告(#2, p878)。依然なされた報告はコンタミか目の錯覚(!?)らしいです。確かに、マイコバクテリアが胞子作ったら怖いですけど、それと同じくらいにコンタミって怖いですね…。

金吾さん EMBO J. vol. 28, #14, 22; vol. 29 #1
・インテグリンとタリンの結合した状態の結晶構造を解いたら、タリンの結合によってβインテグリンが20°ほど傾くことが分かったそうです(vol. 28 #2, p3623)。傾くことで活性化され、インテグリンがECMと結合できるようになるというモデルでした。実際に細胞内でどうなっているかはともかくとして、結合の有無で結晶構造が変わることが見て取れると、分かりやすくていいですね。
・キネシンの足(むしろ首?)を長くすると歩幅が長くなるかと思いきや、歩幅に変化は無く、むしろ微小管から外れやすくなって移動距離が低下するという話でした(vol. 29 #1, p93)。やっぱりキネシンヘッドの着地点は厳密に制御されているみたいです。つくづく、よく出来た輸送システムだなぁと思います。

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