2007年 10月29日


和田くん(Nature: vol.448 (7156), vol.449 (7158)を紹介)
本間先生が「すばらしい」とコメントした、ゴルジ体間のグルコシルセラミドの輸送に関わるタンパク質FAPP2の話はとても興味深かったです。この輸送、驚くべきことにnon vesicular transportらしい。まだ生化学的にしか示されていないので、どのようにして輸送するのか目で見てみたいと思いました。目で見てすぐわかると言えば、「恐怖!ウツボの第二のアゴ」の話。他の硬骨魚類にも咽頭顎はあるけれど、この種のウツボのような前後に動く咽頭顎はこれまで無かったらしい。ムービーを見てみましたが、エイリアンのようでした。

仁さん(Science: No.5843, 5844を紹介)
和田くんが紹介したものとほぼ内容が同じの、結晶構造の論文。神経伝達物質トランスポーターのバクテリアホモログであるLeuT(Na+及びCl-に共役してロイシンを輸送)と抗うつ剤デシプラミンの共結晶構造が報告された。ヒトでも今回の結晶構造でみたように、ゲートの部分にすぽっと薬がはまって神経伝達物質の再取り込みを阻害しているのかもしれないらしい。ところでこのデシプラミンはすでに販売が中止されている第一世代の薬ですが、これだけしっかりゲートにはまったら確かに副作用も強そうだしなぁと勝手に考えていました。

金吾さん(EMBO J. : vol.26(11, 12)を紹介)
いつもながら多岐にわたる金吾さんの話の中で、よくわかって印象に残った神経細胞関連で2題。calpainは、amphiphysinを切断して神経伝達細胞のエンドサイトーシスを阻害することで神経の過興奮を抑えているし、エキソサイトーシスの方でもアクチンとprofilin2の連携プレーで適時に神経伝達物質が放出されるようにちゃんと制御されているようです。やっぱり生物はホメオスタシスがちゃんとできているんだなとあらためて実感させられるお話でした。 今回は一人に一報は神経伝達関連の話が出てきました。最近では精神疾患患者は10人に一人とも5人に一人とも言われているので、この分野の研究の早い発展が望まれるところです。


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