今回は小林さんがscience、誠司さんがPNASでした。
小林さん science
Vol.333,No.6048
1458
ショウジョウバエの樹状突起形成が光によって負に制御されているという話でした。マウスでは光を感知すると樹状突起は伸長されるらしいのですがショウジョウバエでは逆に短くなるそうです。ショウジョウバエの生態について殆ど知らないのですが、マウスにしろショウジョウバエにしろ、樹状突起の長さが変化することで機能的にどのような変化が起こるのかが気になりました。
Vol.334,No.6059
1141,1144
どちらもミトコンドリアに関する論文でした。ミトコンドリアが母性遺伝になるメカニズムについて、父性ミトコンドリアを不活性化するのにオートファジーを用いているという話でした。オートファジーを起こさないようにした、つまり父性ミトコンドリアと母性ミトコンドリアが共存する個体にどのような異常が起こりうるのかが知りたいですね。
誠司さん PNAS
Vol,108(11)
4459
アルコールを感知するメカニズムに関する話でした。δを含むGAVAAによってアルコールを感知して、取り込みを制御していることを明確にした論文でした。RNAiで変異を導入していたようですが、あまり大きな差ではなかったうえに、僅かな期間でその差も消えてしまっていたので、3つあるGAVAAの一つを変異させても、他で補う機能がある、と解釈することもできそうですね。
Vol,108(17)
7028
ミオシン7Aに関する論文でした。in vitroでミオシン7Aを精製すると単量体になってしまうというのが面白く感じました。生体内ではクラスターを作っているのではないかという解釈でしたが、それを証明できる実験もやって欲しかったです。単量体をクラスターにするメカニズムというのが存在するのでしょうか?
Vol,108(26)
10780
ロドプシンを持たないシアノバクテリアがどのようにして光を感知しているのかという論文でした。uirA、uirR、lsiRの三つの遺伝子によって光を受容するシステムを制御しているようです。べん毛タンパク質とこの3つのタンパク質がどこで相互作用しているのかが気になりますね。Che系タンパクと同じようなメカニズムなのでしょうか。
Vol,108(30)
12198
これまでin vitroでの再構成が困難であるとされてきたコヒーシンの再構成に成功したという内容の論文でした。プロトコルだけみるととても単純に見えるのですがこの方法を作りだすまでに随分と苦労したらしいです。これだけでPNASに載るということだから画期的な方法なのは間違いないのでしょうけども。これまでの方法だと何が良くなかったのかが少し気になりました。