2007年 11月26日


吉住さん:Nature 2007 vol. 449 no. 7162, vol. 450, no. 7166
乳癌のお話。乳癌細胞は間葉系幹細胞(MSC)存在下では、癌の転移を進行させることを様々なセルラインで示した。そのメカニズムとして癌細胞はMSCを活性化して、サイトカインの一種であるCCL5を産生させ、これが癌の転移を促進するらしい。CCL5を調節することで、転移を制御できるかもしれない。
神経系を異なる色を発する蛍光蛋白質(GFP, YFP, CFP)で染めるというお話。面白いのはそれぞれの色を持つ細胞だけでなく、絵の具のように混ぜ合わせ(10種類の色)を実現できることである。特異的に染め分けられればさらに面白いですね。

寺島君:Science 2007 vol. 318 no.5848, no. 5849
光関係を2つ。
植物の長日・短日の応答に関わるLOVドメインを含む蛋白質、FKF1が、GI蛋白質と複合体を形成していることを生化学的に示し、青と赤の2つのフォームの内、青色光に応答していることを明らかにした。さらにこれら複合体はCOを調節するCDF1を負に制御していることも明らかにした。
珊瑚の光応答の話。珊瑚は満月の夜に一斉に産卵するが、そのメカニズムは全く不明であった。この研究では、概日時計に関係するクリプトクロムについて、その遺伝子(CRY)発現をRT-PCRで調べた。その結果、2つのCRYの内、CRY2の発現が満月の夜に通常の2.5倍に上昇していた。果たしてこの差で説明できるのだろうか・・・・。

滝口陽子さん:PNAS 2007 vol. 104, no. 30, no. 43.
トウモロコシの2 つのアクアポーリン(水チャネル)のお話。2つの蛋白質(PIP1, inactive form、PIP2、active form)をそれぞれCFP、YFPで蛍光標識し、FRETによる解析を行ったところ、単体では活性化能がないPIP1がPIP2とplasma membrane上で相互作用し、活性をエンハンスする。これによって様々な環境での水透過活性を制御しているのではないかということだった。不活性型をあえて持つことで、広いレンジでの活性調節を実現する生物の奥深さは、すごいですね。
フィトクロムのクロモフォアドメインの結晶構造。フォトトロピンの構造をといたMoffatさんの論文。通常、RedとFar-redを行き来するフィトクロムのうち、バクテリアのフォトクロム(RpBphP3)はRedとnear-redを行き来する。この論文では構造をといて、RpBphP3の光反応を制御する部位を変異により同定したという話。逆が真でないのが残念!!

BACK