2012年5月14日

須藤先生
Science 6070,6071,6072,6073

(6070)
835
最近話題(?) のバイオマスに関する論文。鉄系触媒を用いる事でこれまでよりも高効率で炭素鎖を合成できるという事でした。10%以上あれば実用できるとの事でしたが表を見る限りかなり高い効率のものもあるようで、コストさえ抑えることが出来れば新しい原料として期待できそうです。

848
タンパク質の活性をRNAによってコントロールしているという論文。寒冷地と熱帯地域に生息するタコの持つK+チャネルタンパク質を調べたところ、両者は非常に似たアミノ酸配列を持っていて、RNAによるエディットで活性を持つ温度を調節しているという話でした。平子さんも言っていましたが熱帯地域のタコを寒冷地で生育したらどうなるのかが気になりますね。

(6071)
959
気温と体の大きさに関する論文。気温が低いほど体のサイズが大きくなるというのは有名な話ですが、一つの生物種についても同様の事が明らかになったという話でした。ウマで調査を行ったということですが、ヒトでも食生活等の要素を統一すれば同じような結果になる、ということなのでしょうね。

(6072)
1099,1103
枯草菌の代謝経路に関する論文。炭素源をグルコースとリンゴ酸で交換を行うと、グルコース→リンゴ酸の時には経路に変化は殆ど起こらないが、リンゴ酸→グルコースだと、転写因子を始め、多くの部分に変化が生じるという事でした。炭素源としてはグルコースの方が一般的なものだと考えていましたが、枯草菌ではリンゴ酸の方がメジャーな炭素源ということなのでしょうか。

(6073)
1232
アクトミオシンによる細胞の変形を観察した論文。胚発生の特定のタイミングでアクトミオシンによる収縮が促進され、一斉に変形が起こるという話でした。アクトミオシンが関係しない細胞変形もあるということで、どのような因子が関わってくるのかが気になります。

朱さん
PNAS vol.109 no.13 4709-5134 no.15 5549-5906

4863
solid−state NMRによって、これまで一つのプロテインのダイナミクスしか観察出来なかったが、複数のタンパク質のダイナミクスを追跡出来るようになったという話でした。今回は細胞膜を用いたようですが、やはりcytoplasmの観察も行えるのかどうかが気になります。

6253
E.coliのWaaAの結晶構造解析の論文。LPSの合成に必要であるWaaAの結晶と重要な残基が明らかになったという事でした。CMP-Kdoをトラップする部分に変異を入れれば、病原性が低下するのでしょうか。もしそうなら薬剤の標的として期待できそうですが。

6036
LPSに関する論文。移植した心臓が脱落してしまう理由の一つとして、心臓表面にLPSが付着しており、B細胞の標的となってしまうからであるという話でした。移植段階で病原性物質の検査は十分に行っていると思うのですが、LPSはそれらでは検出出来ないのでしょうか。臨床実験はまだ出来ていないということで、今後に期待です。

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