2013年6月24日

Nature 大羽くん
#7445
1,2. K+チャネルの結晶構造について
1.では腸炎ビブリオ菌のTrkH-TrkAの複合体の結晶を3.8Åの分解能で解いた論文。チャネルの開く頻度はADPを加えると下がり、ATPを加えると逆に上がるようで、結晶構造ではATPを加えたTrkAはねじれており、TrkAと結合するTrkHの細胞内ループがチャネルの孔から移動し、その結果チャネルが開くらしい。
2.では枯草菌のKtrAB複合体を3.5Åの分解能で解いた論文。KtrB二量体にKtrAの八量体リングが結合している構造が明らかになり、1.と同様にATPやADPと結合することによってチャネルの開閉が調節されているようだった。

3. 病原性ピコルナウイルスについて
ピコルナウイルスが宿主の細胞膜を乗っ取って自身のエンベロープとし、宿主の免疫システムをすり抜けるという論文。エンベロープに包まれたウイルスdetergentを加えると抗カプシド抗体に反応するようになったが、細胞内でそんなもの使うわけにはいかないしもともと自身の細胞膜だったものなので特異的に認識することもできなさそうだし...どう対抗すればいいんでしょうね。

#7453
4. ES細胞における選択的スプライシングについて
ES細胞とiPS細胞、分化した細胞の選択的スプライシングに関する論文。分化した細胞でMBNL1/2をKOさせるとスプライシングのパターンがES細胞のように変わり、 逆にES細胞で過剰発現させると分化細胞様になったことから、MBNLタンパク質が多能性に関して負の役割を持つことがわかったらしいがよくわからなかった。

Science 平子さん
#6120
659, 704 リン酸化トレハロース(T6P)と開花の関係性について
花が咲くタイミングは日の長さによって決まると考えられていたが、その詳細なメカニズムはよくわかっていなかった。この論文ではシュートメリステムのT6P濃度がショ糖濃度と相関関係にあり、短日条件から長日条件に移すことによってT6Pの濃度が上昇したことが確かめられた。日の長さがどのようにT6Pの濃度を制御しているかが気になった。

698 ショウジョウバエにおけるヒストンの翻訳後修飾について
ヒストンH3のK27残基に変異を入れることによって生じるショウジョウバエの成虫原基での転写の欠陥が、H3のK27をメチル化する転移酵素PRC2欠損変異体のパターンと同じだった...という論文だったと思う。発生の論文などで真核生物の組織の画像をよく見るが、今回もよくわからなかった。

#6121
763, 786, 826 細胞内での核から漏出したDNAの検知について
細胞内にDNAが存在するとSTINGと呼ばれる因子がNF- BやIRF3を介して免疫や炎症に関する遺伝子を活性化させることは分かっていたが、この論文ではその上流のシグナリングを同定した。cGASによってATPとGTPが環状化されたcyclic GMP-AMP(cGAMP)がシグナリングに関わっているようだ。cGAMPと似ているc-di-GMPは真核生物では作られていない(レセプターは存在する)ようなので、この発見は意外だった。CRISPR/Cas systemとも関わりがあるのだろうか。

PNAS 森さん
#14
5416 CRISPR/Cas systemに関するタンパク質の検出系について
ある変異の入ったCasタンパク質Csy4(Csy4*)はpre-crRNAのヘアピン構造と結合できるものの、切断活性が失われてしまう。しかしイミダゾールを加えるとCsy4*の切断活性が回復することから、Csy4*をタグで釣ってイミダゾールでWash、EluteすることでcrRNAに結合するタンパク質を検出する系を立ち上げた論文だった。現状でもNatureやScienceでCRISPR/Cas systemの論文をよく見かけるが、この系によってこれからますます増えそう。

5624 バイオフィルムと表面のトポロジー、べん毛・運動能の関係性について
六角形の突起が並んだ表面(HEX)は、平坦な表面(flat)と比べて菌体が接触できる面積が減るにもかかわらず、WTの大腸菌ではHEXのほうでよくバイオフィルムが形成された。ΔmotBやΔfliC株ではflatな表面でよくバイオフィルムが形成されたことから、べん毛を突起の隙間にアクセスさせて表面積を増やすことができるらしい。この研究が進むと、バイオフィルムのできにくい流し台とかができたりするんですかね。突起を作るよりも表面を科学的に処理したほうが安上がりな気がしないでもないけどどうなんでしょう。

#17
6874 DEKの細胞内での輸送について
外因性のDEKはマクロファージに取り込まれたのち、核に運ばれてヘテロクロマチンを形成する、という論文だったように思う。原核生物を扱っているせいか、真核生物の細胞の位置関係が把握ができておらず、内容を理解するのに苦労した。

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