Zhuさん Science #6144, #6145, #6146
#6144, p392
FtsZのGDP-boundd formの結晶構造を結核菌由来のFtsZを用いて解析した(2.9 angstrom)。(何故かわからないが、FtsZはdimerで結晶化するみたい)
以前に構造が解けていた、Salmonella由来のFtsZのGTP bound formと比較すると、今回の構造はL269をpivotのようにしてdimer間で曲がっている。GTPの加水分解で(GTP-bound formからGDP-bound formへの遷移で)FtsZのdimer間が曲がるようになって、細胞分裂中でFtsZ ringが力を出せるようになるそうだ。構造から機能がわかった(つもりになれる)論文。
#6145, p569
腸内細菌の代謝に影響を与えると、結果として免疫系に影響がでるそうだ。人の腸内の微生物のバランス、短鎖脂肪酸の影響を調べた。西洋人の肥満症と関係がある?よくわからなかった。
#6146, p655
NPC(nuclear pore complex)の各サブユニットの配置をsuper-resolution microscopyで解析した技術的な論文。各サブユニットにEGFPを融合して、super-resolution microscopyで観察するとNPCがリング状に観察される。リングの直径からそれぞれのサブユニットの相対位置が推定できる。
#6145 p664
RNA Pol IIが核内でclusteringするのをリアルタイムで観察した。血清で刺激すると、clusteringがさらに大きくなり、clusteringの時間も長くなる。clusteringの生理的な役割は何だろうか?
堀田さん PNAS vol. 110(no. 19), vol. 110(no. 23)
no19, p7868
莢膜多糖(ポリサッカロイド)の構造をLC-MS/MSと western blottingで解析した論文。多糖を合成するタンパク質ではなく、合成される側の多糖を解析した。多糖のKdoの数がK1株(病原性)は奇数個で、K5株は偶数個。Nylon(正電荷の膜)でwesternすると、多糖の合成途中や分解産物も検出できる。
no19, p7874
高アルカリ性の細菌(alkaliphilic Bacillus)のATP合成酵素のcサブユニットの数について。c-ringの数を制御するアミノ酸部位がわかった。膜貫通領域中心の保存されているGが高アルカリ性細菌ではAになっていて、c-ringのサブユニット間の疎水相互作用に働いている。この箇所に変異を導入すると(A16GとA16/20G)c-ringのサブユニット数がWTでは13が~80%なのに対し、A16/20Gでは12のものが~60%になる。高アルカリ(H+が低濃度)ではPMFが低いので、ATPを合成するのにたくさんのH+が必要。それ故に、c-ringのサブユニット数を増やしているみたい。実際に、A16/20Gでは菌の成長も遅くなるそうだ。
no. 23, E2126
STEC(Shiga toxin-producing E. coli) O157:H7と食事の関係。繊維質が多い食事を摂ると、腸内で発酵しbutyrateが増える。そうするとGb3の発現が上昇。時間が経つとそれがなくなる。マウスの実験で繊維質が多い食事を摂ると、STEC感染後、体重が減りやすくなり、死にやすくなり、大腸菌にも感染しやすくなる。さらに腸内にもともといた大腸菌が減って、O157が増えるそうだ。