2014年2月3日

Nature #7479, #7482 郷原さん
1) 生物の三界の系統樹の分かれ方が今まで言われてきたものと異なる可能性がある。とりあえず2つに分かれてから、先端の方でアーキアとユーカリオートに分かれるのだろう。
2) ヒトのGABABのレセプターの構造を解いた。アポ、アゴニスト結合型、アンタゴニスト結合型の3種類の構造を調べて、アゴニスト結合時とアンタゴニスト結合時ではLB2ドメインの構造が異なる事がわかった。
3) べん毛が伸びていく話。先に入っているFliCのN末端が次に入ってくるFliCのC末端と結合して、べん毛の先端でフォールディングする時のエネルギーを用いて次のFliCを引っ張り上げているらしい。
4) 結核菌がマクロファージに感染してより深部へと運ばれていくが、結核菌は感染するマクロファージを選んでいるのではないか、ということを近縁種の菌を使って調べた。
5) 出芽酵母でバイオエタノールをつくるときに、DEHU(アルギン酸)の輸送体の遺伝子を導入しておくと酵母のGrowthが上昇し、消費した糖の83%にあたるエタノールを産生した事が分かった。今後のバイオエタノール事情に関わってくる話題でした。
6) X線自由電子レーザーを用いてリゾチームの構造を解いた。フェムト秒の強いレーザー光線をあてることにより、nm~µmの結晶でも構造が解けるので、結晶を作りにくい膜タンパク質でも今後使えるのではないかということです。

Science issue6167, 6168 小野くん
1) グラム陰性菌が小胞を放出している事はよく知られているが、海に住むプロクロロコッカスが放出している小胞にはどのような役割があるのかを調べた話。3つ可能性がある;1、従属栄養生物との関連(小胞の炭素を栄養とする)。2、ファージに対抗する手段で小胞をおとりにする。3、小胞内にはDNAやRNAが含まれており、遺伝子の水平伝播に関わる。実際に小胞にファージが感染している電顕像が撮れたので2は確かだろうということです。
2) サルモネラ菌が多剤耐性を遺伝子変異以外の方法で獲得出来るという話で、pHが下がったり飢餓状態になると休眠状態(Persister)という状態になり、いろいろ阻害してくる抗生物質をスルーしてしまう。このせいで多剤耐性をもっていて慢性感染の原因になりうるといえる。
3) 過去に黄熱病のワクチンが作られたが、その作用機序は分かっていなかったので、今回全て明らかにしましたよ、という話。
4) 以前大問題になったサリドマイドが他の病気にも効きそうなため再び注目を集めているなう、という話。がんなどの重篤な疾患に効くみたいです。

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