小嶋さん Nature #7486, #7487, #7488
1, 2
Secの構造の話。1は大腸菌内で、2は犬のものをin vitroで。これまであまり見られてこなかった、リボソームで合成された直後のタンパク質とSecが結合した状態の構造を電顕で解いた。輸送をarrestさせるような配列を基質に入れておくなどの工夫で輸送中の構造へとtrapさせている。nascent chainが入るとlateral gateが開きそこに膜貫通領域が入る、また、入り口手前にloopが形成されることがlateral gateが開くことに重要、とのことらしいが、細かくてよく分からなかった。
3
opioid(アヘン) receptorの構造の話。ヒト由来のもので、改変が少なく、ほぼ全長の構造が解けたとのこと。1.8Aと、分解能が高くNaも見えている。Na結合残基に変異を導入すると、Na依存的な機能が正反対になったとか。GPCRの話も、重箱のすみを突つくような話が増えてきた印象だが、それでもNatureというのはさすがである。
4
バクテリアにおいてdouble strand breakが起きた時にどのように修復されるかをイメージングで観察した話。修復に関与するRecAとbreak箇所を同時に蛍光標識し、RecAがフィラメント化し、break箇所とbreakしてない方が非常に速い速度で近づき、修復が起こる、というのが観察されていた。詳細な分子メカニズムに興味が湧いた。
5
RNAとリボソームタンパク質S4の結合の流動性をFRETで観察したという話で、Mgありなしで違いが出たとのことらしいが、図からどこまで詳しくdiscussion可能なのかはよく分からなかった。
堀田さん Science #6175, #6178
1
HIV予防薬の話。サルを主に使用しているが、ヒトを使っても実験。体内に留まり続ける期間や、ウイルスへの抵抗性との関係を調べていた。分野が違いすぎて図の解釈はよく分からなかったが、きっと今後の医療に役立つのでしょう。
2
ミトコンドリアの巨大リボソーム複合体を3.2Aで電顕で構造を解いたという話。カメラと解析アルゴリズムが最新のものを使っているところがポイントらしい。電顕の実験はやはりマシンの性能次第ということを改めて感じさせられる話だった。
3
バクテリアの植物への感染の話。植物の免疫反応におけるEFRというレセプターのチロシンリン酸化を、HopAO1というTypeIII effectorがホスファターゼ活性によって阻害し、植物の防御を回避するとのこと。細かな生化学的解析のデータを積み重ねた良いストーリーだと思った。
小野さん PNAS Vol.111 #10, #13
2
Mycobacterium abscessusという菌が繊維状の巨大集合体を作ることで、マクロファージがサイズ的に食べられなくしているという話。大きくなることで防御するとは斬新に感じた。
3
TypeIV piliの外膜リングの外側に存在する構造がTsaP由来であることを同定した話。MSで同定。piliの分泌に重要なことが分かった。見た目として分かりやすい結果だった。
4
大腸菌のSecYEG--SecDF-YajC-YidCの7者複合体の精製に成功したという話。精製しただけで、それ以上の細かなデータは出ていなかったので、いまいちすごさがよく分からなかった。
1
安価に病気の検出が可能な人工バイオマーカーを作ったという話。血液中に注射し、尿から分解産物を検出することで、病気と関連した様々なプロテアーゼ活性を測定できる。儲かりそうな話だと思った。