尾上さん Nature #7597, 7600, 7602, 7603
1_Okumura et al, #7597:哺乳類の腸の免疫に関与するLypd8の話。主に腸内細菌のべん毛を認識して腸炎を防ぐらしい。日本のラボの話だった。
2_Rakoff-Nahoum et al, #7602:Bacteroidesの共生の話。多糖類を分解できる酵素を持っている細菌において酵素をコードすると予想される遺伝子を欠失させた。ある細菌では欠失すると生育が阻害されるが、別の細菌ではそうはならない。後者の例では共生細菌と共培養すると野生型の生育がよくなるらしい。多糖類の分解ができても自身には直接の益がないという風変わりな話だった。
3_Oxenoid et al, #7602:Ca2+のチャネルの構造の話。機能に重要であるとされるC末端側の断片を精製し、NMRを用いた解析を行った。五量体として構造が解明された。複合体の分子量が約90kDaであり、NMRを用いて構造が解析された膜タンパク質で最大であるらしい。電顕での解析も行ったらしい。
4_Sauter et al, #7603:PSIIの構造の話。二年前の論文を否定しているらしい。Lettersでないのはそのためだろう。
5_Taylor et al, #7603:T4ファージのベースプレートの電顕を用いた構造解析の話。本間教授が以前PNASで紹介した論文よりも秀逸だったのでNatureらしい。以前の論文と比べてベースプレートを構成する全てのcomponentを含んでいる点が大きな強みのようだ。細菌に結合する前後でのtailを観察することで、tailがどのように動くのかも提唱している。
水野くん PNAS Vol.113 (26, 27)
1_Shu et al, #26:Curliと呼ばれるアミロイド線維の話。これを産生する7つのタンパク質の内CsgEに着目し、NMRを用いた解析で構造を解明した。これは自己連結してしまう性質を持つため、複数の変異を導入することでモノマーにするという工夫をした。相互作用するとされる相手との相互作用は見られなかったらしい。
2_Speziale et al, #27:膜タンパク質の結晶構造解析に用いられるLCP法を応用してトランスポーターの活性を観測できたという話。Cl-とH+を交換輸送する膜タンパク質であるEcClCを脂質二重層にPn3m-phaseになるように再構成した。これを筒状容器の中央に配置し、その両側にCl-とH+にそれぞれ富む溶液を配置した装置に電圧をかけることでイオンの拡散を測定できた。
3_Zhang et al, #27:哺乳類の肺の分枝の機構についての話。ユビキチンリガーゼE3の一種、RFWD2がETV5という因子に作用することで機能するらしい。RFWD2を不活性化するとSox2等の発現に異常が起こったり、Etv5の分解を誘起できないためにその異常な蓄積が起こったりすること等が分枝に影響を与える原因らしい。
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