小嶋さん
(1)Amma Asare et al.
細胞増殖と分化のバランス調整に関わるPex11bを同定した。ペルオキシソームの遺伝子が分裂に関与しているのを確認した初めての論文。PEX11bが欠損すると分裂面が歪んでしまい、分裂が遅くなることが明らかになった。

(3)Joshua A. Lees et al.
インスリンシグナル回路の下流では、脂質輸送タンパク質TMEM24の小胞体―原形質膜への接触は、細胞質Ca2+によるC末端リン酸化・脱リン酸化で制御されると明らかにした論文。TMEM24欠損ではCa2+応答が正常に機能せず、インスリン放出に支障をきたしてしまう。また、結晶化や構造解析など手広く研究しており、TMEM24はダイマーになっているもわかった。

(4)Naama Katsowich et al.
病原性大腸菌は宿主細胞に付着する時、毒性に関わる様々なエフェクター分子を腸上皮に注入するが、詳しいメカニズムはわかっていなかった。今回の論文で、毒性因子NleAの翻訳はCsrAによって抑制されていること、細菌性シャペロンCesTがCsrAと結合によることでCsrAの活性は低下ことが明らかになった。つまり、CesTとCsrAの結合がNleA翻訳を誘導している。病原性大腸菌は腸上皮と接触したときだけ毒素を発現させるという効率的な発現系が明らかになった。

錦野さん
(1) Dipti D. Nayak snd et al.
H. pyloriの持つChe systemのうち、CheAのアダプターとして知られていたCheWとCheV1の更なる機能を明らかにした論文。今回の話で、CheWとCheV1は共にCheAリン酸化を促進し、この2つの因子はCheAの細胞膜へのリクルートに必須だとわかった。

(2)Lindsey S et al.
シュードモナスのバイオフィルム形成関連因子PelCの構造を解き、機能を明らかにした。解けた構造は我らがビブリオ菌のFlgTと似ていた(寺島さんの論文が引用されていたそうです)。Mutagenesisでリングの内側のバイオフィルム形成に重要な残基とわかり、PolysaccarideがPelCリングの内側を通って排出されるモデルが提唱された。

(3)Lisa R. Racki et al.
窒素飢餓に陥ったバクテリアはリンをためこみ、その現象がcell cycleやDNA修復に関与することは知られている。窒素飢餓のシュードモナスはcell cycleに伴ってPolyPを発現増加、細胞分裂終了後では蓄積したPolyPが大きな塊になっていた。今回はバクテリアの話だが、ノーベル賞で話題になった真核生物のオートファジー時にも似たような働きをするタンパク質があるかもしれない。

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