近藤くん Nature #7673, 7678, 7681
#7673_Kim et al; 妊娠しているマウスの母体にウイルスや細菌が感染した場合、TH17cellが活性化しIL-17aが分泌されて、胎児の脳の発生異常が生じるという話題でした。TH17cellの活性化は、腸内に存在するsegmented filamentous bacteriaが関係しているようで、抗生物質を投与したマウスの場合は、TH17cellの活性化による脳の発生異常は見られなかったようです。妊娠中の感染症は深刻な問題ですから、その予防や抑制の方法の研究に役立って欲しいです。

#7681_Gaudelli et al; NHEJを起こさないCas9を用いたDNAターゲティングと脱アミノ化酵素反応をリンクさせて、部位特異的な点変異修復を行うという研究でした。アデノシンのアミノ基を脱アミノ化する酵素を大腸菌のタンパク質の改変により作成したことそのものも面白いですが、部位特異的に修復するという性質は特筆に値すると思います。ただ、どのようにして狙ったアデノシンのみを脱アミノするのかがわかりませんでした。

#7681_Parker and Newtead; 糖を結合したヌクレオチドを交換輸送する輸送体の結晶構造が3.2Aで解明されました。基質の結合した構造も解いていて、どうやら同時に2つの基質(アンチポートされる相手)を結合することはなく、1つ結合して輸送した後、アンチポートする基質を内側で結合して輸送する、というしくみのようです。

本間先生 PNAS Vol. 114 #39, 41
2冊から報告で、41巻には私たちのグループとアメリカのグループの共同研究の論文も発表されています(Zhu et al, 10966)。

#39_E8304 Hiraoka et al; 12月に遺伝子実験施設主催のシンポジウムで講演される、宮城島先生のラボの仕事です。非常に酸性度の高い環境で生きている緑藻(クラミドモナス)のゲノムを解析したという内容でした。通常のクラミドモナスにくらべて、ヒートショックタンパク質やP-type ATPase(H+ポンプ)の発現が高いこと、代謝に関わる酵素が少なく、有機酸の合成が抑えられていることなどがわかりました。

#41_E8585 Chio et al; C末端側のヘリックスで膜に挿入される、tail anchored proteinsの膜挿入を担うGet systemの構造変化をモニターした話です。Get3のopen構造とclosed構造が結晶構造解析から明らかにされていましたが、それをsmFRETで実際にモニターしました。どのようにして1分子内の2つのCysを異なるprobeでラベルしたのかが気になります。先週私が報告したCa-ATPaseでも同じような実験をしていて、smFRETは敷居の高い実験ではなくなってきていると感じました。

BACK