Guijun Shang et al.
免疫に関与するSTINGの構造を解いたという話でした。以前所属していた研究室では免疫に関する話題がほとんどなかったので、もう一度学び直したいと思いました。
J. A. Marchand et al.
放線菌が合成する化合物を新規に見出したという話でした。L-Lysineから中間体を経て、三重結合を持つ化合物になるまでの反応経路が今までにない発見だそうです。
生物の作る化合物で現在でも予期しないものが存在することに驚きました。
小嶋さん Science #6431 #6436 #6440
3冊から6報の紹介です。
LINDSAY B. CASE et al.
タンパク質が集まってゲル状のクラスターを作ることで反応の活性化をもたらすという話でした。今回のp-Nephrin、Nck、N-WASPの場合、Nckの濃度が高くなると、p-Nephrinを介さないNckとN-WASPの相互作用が生じるようになり、この時N-WASPは長くとどまることができないので、適切なNckの濃度が決まるそうです。生体内の反応の制御にはさまざまな方法があり、面白いと思いました。
PIERRE BUSCAILL et al.
細菌と植物の免疫応答の話でした。Psedudomonas syringaeが植物に感染すると植物はフラジェリンの断片を認識して免疫応答しますが、その際に用いられるグリコシダーゼBGAL1を同定しました。これはフラジェリンO-グリカンにmVioを保有する場合にのみ免疫に作用するので、細菌側はO-グリカンを改変して免疫応答を回避するそうです。
このグリコシダーゼを同定する際の実験のデザインは考えられていてすごいと思いました。
SHOJI MAEDA et al.
クライオ電子顕微鏡でムスカリン性アセチルコリン受容体の構造を解いたという話でした。この受容体には5つのサブタイプが存在し、アミノ酸配列が保存されている部位が存在するが、その中で機能に重要なアミノ酸残基は一部であったそうです。機能に重要でないのに保存されているアミノ酸残基はなぜ保存されているのだろうと思いました。
三野さん PNAS vol,116 No.16,17,20
1冊から3報の紹介です。
Yuhong Cao et al.
細胞へのダメージが少ないナノポアエレクトロポレーションの話でした。小さな穴が空いたデバイスに細胞を入れて培養もしくは遠心してデバイスに定着させることで日頃我々が行なっているバルクのエレクトロポレーションよりも低い電圧でエレクトロポレーションを行うことができ、細胞の一部にしか穴が開かないのでダメージが少ないそうです。
細胞壁が存在する細菌や成虫原基の細胞にエレクトロポレーションする昆虫ではすぐには応用できないかもしれませんが、培養細胞では有効な技術であると思いました。
Flore Aubey et al.
髄膜炎菌の定着を阻害する物質をスクリーニングし、髄膜炎菌のPilFのATPaseの阻害剤が有用なものとして見出されたという話でした。今回見出されたものは髄膜炎菌の付着を防ぐことに加え、定着後に引き離す効果もあるそうです。個人的にはスクリーニングで見つかった分子のどの官能基が機能に重要かという解析が新鮮でした。
Sara Maslanka et al.
標的細胞への特異性の高いドラッグデリバリー分子を見出したという話でした。Ang-ⅠがACEによってAng-Ⅱに変換されてから受容体に結合して取り込まれるという2段階の反応を経ることでオフターゲットが起こりにくくなっているそうです。完全にオフターゲットをなくすことは難しくても、限りなく起こりにくくすることはできるのかなと思いました。