Nature 堀君 No.7742, 7747, 7767
3誌から4報の紹介でした。
Hannah A. Grunwald et al.,
マウスでのgene driveの話。ハエや蚊とは異なり、マウスではHDRの割合が低いので、copycatカセットとcre-loxPを用いることで、より生殖細胞特異的にHDRを起こさせることができた。しかし、まだその確率は低いとのことだったので、今後の進展が気になるところ。
Douglas G. Paton et al.,
マラリアに対する新し薬を見つけたという話。今回発見したATQ は、マラリアのシトクロムCに作用することで、直接蚊やマラリアを殺すのではなく、マラリア原虫がOocyst(ヒトに感染する状態)に移行するのを防ぐとのことだった。蚊の数を減らすこと無く感染のみを防げるのは、生態系の維持という面においてもよいことだなと感じた。
Science 寺島さん #6446, 6462, 6466
3誌から8報の紹介でした。
Sara B. Noya et al.,
睡眠とタンパク発現との関連性についての話。トランスクリプトームとプロテオーム解析を用いることで、神経においてmRNAの転写は概日時計に依存し、タンパク発現は睡眠に依存して起こることが分かった。どちらも睡眠時では無く、あえて違う機構に依存している点が不思議である。
Janice M. Reimer et al.,
非リボソーム依存的ペプチド合成酵素(Nonribosomal peptide synthetase)の各段階の構造を解いたという話。機構は非常に興味深く、あえてこのリボソームとは別にこの機構を残しているのも面白いと思った。
Margaret L. Antonio et al.,
古代ローマの人種の移り変わりを骨のゲノム等を用いて追ったという話。歴史的な話を科学的手法で追跡して解明していくのはロマンがあって楽しそうだなと感じた。
PNAS 小嶋さん Vol.16 No15, 25, 45
3誌から7報の紹介でした。
Christian Manne et al.,
サルモネラ菌の一種がヒトのIgGを産生する骨髄形質細胞の増殖を阻害するという話。エフェクターであるSiiEを欠損させた株の投与により、今回用いたサルモネラ菌の株へのIgG産生量が増大したことから、SiiE欠損株のワクチンとしての利用が期待される。
Sandra Zakrzewska et al.,
薬剤排出ポンプの一つであるMATEのこれまで解けていなかった状態の構造を解いた話。MATEは本来薬剤排出ポンプであるが、シュミレーションによって薬剤を通過させる孔に脂質が入り込むことが分かり、脂質のフリッパーゼとしても機能する可能性があるのは興味深い。