今年度は修論発表会の日程がいつもと異なるため、前回(12/9)の三野くん合わせて今回がM2にとっては最後の速報発表でした。井上さんも平野くんも、最初の頃に比べて随分発表が上手になりました。大事なところは何か、何が言いたいのか、を意識して文献を読む力がこの2年間でしっかり身についたことがわかる発表でした。

井上さん Nature #7769, 7781
2冊から4報の紹介でした。#7769のGoffau et alでは、人の胎盤内は無菌であると主張していました。これまでの結果でメタゲノム解析を行って見出された菌は、分析用に調製したサンプルに含まれてしまったコンタミだったようです。私も子供が生まれた時には、感染症が気になった記憶があり、無菌ということがわかれば安心できますね。同じく#7769のJiang et alでは、植物がNaClを感知する際、GIPC sphingolipidsがNa+を結合し、Ca2+の流入を誘起しているということが報告されていて興味深かったです。LipidにNa+が結合し、隣接するCa-channelを制御するという仕組みは新しいように思いました。

平野くん Science #6468, 6469, 6470, 6471
4冊から4報を紹介しました。盛り上がったのは、最初の#6468 Hu et al, カブトムシの角の元は羽だった、という話でした。実際にはコガネムシで調べたようですが、羽を生み出すために必要な因子をRNAiでノックダウンして、角の形成ができなくなることを示していました。虫には詳しい堀くんの興味を引いたようで、彼はたくさん質問をしていました。私が印象深かったのは、#6470 Nakagawaさんの論文(単名!)で、AMPA receptorの構造を隣接する因子と共にクライオ電顕で解いた、という話です。この因子は膜内でAMPA-Rと相互作用しています。予測では3回膜貫通タンパク質だったのが、実際解いてみると短いヘリックスTM3を持つ4回膜貫通タンパク質でした。相互作用領域には芳香環を持つ側鎖のアミノ酸が並んでいるのが印象的でした。

BACK