相良君 Science #6463, 6467, 6472
Gil-Cruz et al.,
バクテロイデス属細菌が心筋炎の原因の一つであることを突き止めた。バクテロイデス属がもつβガラクトシダーゼが心筋のミオシンと相同性があるため、細菌を攻撃する際に心筋までもが誤ってT cellの攻撃を受けてしまうため、炎症が起きてしまう。βガラクトシダーゼとミオシンに相同性があることに驚いた。
Moura-Alves et al.,
緑膿菌のクオラームセンシング(QS)で放出される分子に対するホストの認識機構について調べた。受容体AhRが細菌の作り出すQS分子を認識することで活性化し、免疫応答を引きおこすことが分かった。受容体やQS分子は多様性があると考えられるため、それぞれの受容体と分子の認識の細かな部分がわかれば、それだけで論文になるだけでなく、新たな創薬ターゲットができるなどが予想され、今後の発展が楽しみだと感じた。
本間先生 PNAS Vol.116 No.50-52
Gambelli et al.,
Sulfolobus属細菌の持つS-layerと呼ばれる細胞膜上の構造体をCryo tomographyで解いた。S-layerを構成するタンパク質SlaA, SlaBが複合体を形成し、サッカーボール用のリング構造を膜上に形成することで細胞の柔軟性を制御する。SlaA, SlaBは糖鎖修飾されるが、その修飾の役割や機構が気になった。糖鎖修飾を制御することができれば、細胞の柔軟性や形の制御ができないだろうか?
Cai et al.,
細菌の細胞分裂に関わるMinEの多量体形成についてNMRを使って解析した。MinE, MinDなどのタンパク質の重合と分裂をin cell NMRなどの方法を駆使し明らかすれば、細菌の細胞分裂機構が解明できるのではないか、と思っているがなかなか難しいらしい。