山﨑さん Nature #7840、7843
Anita Gola et al.
はたらく細胞BLACK でも登場してきた肝臓のクッパー細胞(KC)の話題。
以前は肝臓中に均一に分布していると考えられていたKC が、実は門脈周辺領域(血液の流れでは上流側)に多く居て、中心の静脈領域(下流側)には殆ど居ないことが判ったと言う内容。 KC が異物外敵の排除にも働いているというのも知りませんでしたが、その分布が今までわかっていなかったのにも驚きです。 解剖学的には、「ランゲルハンス島の発見以降は何も新しいことは出てこないだろう。」などと言われていた訳ですが、細胞レベルでは未だ未だわかっていないことが沢山残っているのでしょう。 しかしそれにして、はたらく細胞ですが、病原体のキャラクターデザイン、もう少し何とかならないものでしょうか、、、淋菌とか、がっかりでした。。。

平子さん Science #6473、6474、6475
J. Liu et al.
細菌の抗生物質などの薬剤に対する防禦には、耐性獲得以外に「寛容」という方法もある!
完璧に病原体を撲滅するためには、複数の薬剤を組み合わせて処方する方法は一見良さそう。しかし、菌の中には寛容によって薬剤に対し長期間耐え忍ぶことで生き残ろうとするものが現れて来て、その菌の中から別の薬剤に対する耐性菌が生じて来易くなることが判明。しかもそれは特定の菌、特定の薬剤の組み合わせに限られたことではなく、普遍的に起き得るという報告です。 これは恐ろしい報告でした。

S. A. Freeman et al.
免疫系細胞の細胞膜で起きている膜の活発な新陳代謝にはMacropinocytosisによる小胞の形成とリサイクルが重要。
そのリサイクル時には、先ずチャネル蛋白質TPCによる1価の陽イオンの排出と、その結果生じる水の排出による小胞の縮小および膜張力の減少が起き、次にBAR蛋白質による膜突起形成とより小さな小胞への分裂が起きる、という過程を経る事が判明。 これまでBAR(一群の蛋白質の総称で、色々なものが存在します。)の中には、細胞膜の陥入に働いていると仮定するには、働くタイミングが変だなと言われているものも存在していて、今回の報告(小胞の形成時よりも、そのリサイク時に重要。)によって漸く合点が行きました。

成田さん PNAS Vol. 118, #4、5
Rachel Kozlowski et al.
酵素などの蛋白質に上手く結合させた金コロイドに光を照射する事で局所的に熱を発生させ、その活性の変化をみる。。。
例えば早大の石渡研(教授の石渡信一さんは、生命理学専攻の前身の名大分子生物学研究施設のご出身です。)では、In vitro motility assay系にこの方法を適応して、アクチン線維の滑り運動が速くなるのを見たりしていましたが、結局「周囲の温度を上げれば、ATPの加水分解反応も速くなるから。」という結論よりも進んだことは言えていませんでした。 今回のパルスレーザーによる励起で、重要な部位に結合させてある場合にだけ上手く熱上昇が酵素などの蛋白質の活性に影響を与えると言う方法に改良すれば、もっと詳しい情報が得られる様になるのかも知れません。

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