tax return


皆さんご無沙汰しています。僕もついに渡米して一年が経ちました。本当にあっと言う間でした。色んな事が体験できた非常に濃い一年でした。しかし、来た当初の目標にはほど遠い自分の現在・・・英語の問題、実験成果の問題、独立した研究者としての自分の資質など。後2年こちらにいることが許されているのですが、その2年間にどれだけのことが出来るのか、これまで以上に頑張って行かねばならないと思います。

 さて、この所は非常にあわただしい毎日でして、ホームページの更新も怠りがちですみません。今回は少々大変だったtax return(確定申告)についての報告です。はじめに申し上げておきますが、今回も僕個人の手続きの様子を、自分のための記録としてここにアップするため、内容が全ての人に当てはまるかどうかに関してはわかりません。その点ご了承ください。

University of Utahでの税の仕組み
 さて、1年前はじめてこちらへ来て諸手続をした際に、tax officeにも行って、taxを源泉徴収してもらうよう手続きを行いました。そのときにもらったhandoutによりますと、University of Utahのemployeeにかかる税は以下の通りです。

従って、毎回のpay checkを調べると、Earnings(収入)から、以上の3つの税金が引かれた額(僕の場合は健康保険も源泉徴収されるのでそれも引いた額)がNet payとして記録されており、その額が僕の銀行口座に振り込まれる仕組みになっています。州によっては、state income taxを課さないところもあるそうです。また、僕の場合は収入の15.3%がFICAとして徴収されることになっているのですが、そのうち半分はemployerが支払い、残りの半分を我々employeeが支払うことになっています。FICAは'social security tax'と'medicare tax'の二つの項目に分かれていて、記録を見るとSocial securityの方がmedicareの4倍の額になっていました。

Tax exemptionと関連書類
 さて、一見多くの税を取られてしまうように見えますが、我々J-1 VISA holderは、6年間のうち最初の2年間は無条件に免税されることになっていて、以上の3つすべての税金を免除されます。ただし、3年目からは以下のSubstantial Presence Testによりresidentと判断されるので、免税ではなくなります。

Substantial Presence Test
以下の条件に当てはまれば、あなたは1999年においてUSのResidentとみなされます
1. 31 days during 1999 and
2. 183 days during the period 1999, 1998, and 1997, counting all days of physical presence in 1999 but only 1/3 the number of days of presence in 1998 and only 1/6 the number of days in 1997.

 原文は以上の通りですが、つまりcurrent year(1999)に31日以上USに滞在し、かつ(1999年の全滞在日数)+(1998年の滞在日数 X 1/3)+ (1997年の滞在日数 x 1/6)が183日を越えると、1999年はresidentとなります。滞在3年目になるとこのテストにひっかかり、US residentとして税金を納めなければなりません。免税は、日本とUSAとの間のtax treatyにより決められており、Publication 901という書類の中のarticle 19に、その取り決めについて明示されています。以下のWeb siteへ行けば、currentのtreatyについて調べることが出来ます(http://www.windstar-tech.com/new/htmltreaties/indextreat.html)。ちなみに、去年も今年も同じarticle 19により免税されていました。また、Internal Revenue Service(IRS,米国国税庁)のホームページ: http://www.irs.ustreas.gov/へいけば、様々な書類をPDF fileでダウンロードできます。ただしどれもものすごいページ数です。関連のある書類をあげておきますと、

Pub 519: US tax guide for aliens
Pub 520: Scholarships and Fellowships
Pub 901: US tax treaties

 色々書きましたが、要は最初の2年間はPub 901中のarticle 19に書かれた取り決めにより、Japanese J-1 VISA holderは無条件に免税されるということです。

tax returnと提出書類
 US source incomeがあれば、全員にtax returnの義務があり、それを怠るとペナルティーが課されます(色々あるようなのでここには載せません)。tax returnを自分で行うことにより自分の税金に関する状況を把握することが出来、必要以上に税金が取られていた場合はその分を取り戻すことが出来ます。僕のような独身のJ-1 VISA holderでNon residentの人が提出すべき書類はForm1040NR-EZです。また、免税の立場を申告するために、Form 8233 (Exemption From Withholding on Compensation for Independent)を大学のtax officeに提出しなければなりません。あと、必要なのかどうかはっきりしないのですが、Form 8843 (Statement for Exempt Individuals and Individuals with a Mediacl Condition)も提出しました。Form 8233に関しては、昨年の11月にtax officeから呼び出しがあり、そこで記入しました。Form 8843はSubstantial Presence Testにより免税を申告する場合に必要なようです。International centerの人によれば、提出が必要との事でしたが、知り合いは去年提出しなかったけれど何も問題なかったとのことです。まあ今回はとりあえず提出することにしました。また、state taxが課税される州では、state tax returnの書類も提出しなければなりません。しかし、僕の場合はstate taxは全く取られていなかったので、後で述べるbusiness schoolのvolunteerの人に相談したところ、提出する必要なしと言うことだったのでしませんでした。

 というわけで、僕の場合は今回1040NR-EZと8843に記入をし、attachmentをつけてIRSに提出日ぎりぎりの4月17日に送りました。ここで、記入の際に必要な書類・情報をまとめておきましょう。

 以上の書類を揃え、instructionを読んで一通り勉強したら、記入はそれほど難しくありません。このformは2ページだけで、しかも我々は免税されているので、ほとんどのカラムにゼロを記入し、line 6 (total wages and scholarships exempt by a treaty from page 2, item J)に、Form 1042-S に記入されているgross imcome paidの値を記入するだけです。page 2には、自分のstatusやVISA, passport番号、USに滞在した日数、国外への出入り、などを記入しますが、最も重要なのがItem Jです。ここには、日本とアメリカの間のtax treatyにより、自分が免税されていることを記入しなければなりません。免税のタイプ(under tax treaty)、免税額(line 6と同じ額)、免税を規定しているtax treatyのarticle(Pub 901, article 19)を記入します。記入の際には、W2および1042-Sに書かれている値が正しいかどうか、必ずチェックしてください。僕の場合、3月上旬にW2が再び送られてきて、’すべてのtaxが引かれていない’ように修正されていました(事実、そうなのです)。記入が済んだら、自分の課税状況を証明するform W2と、自分の収入を証明するform 1042-Sのfederal向けコピーをくっつけて、IRSへ郵送します。

 Form 8843に関しては記入する事柄は簡単なので、特にここで説明はしません。滞在日数やVISAの情報を書くだけです。

 ところで、僕の場合は少々分からない点があったので、tax officeに電話して相談に乗って欲しいと頼んだのですが、「個人的な相談は一切受けられない」と断られてしまいました。それでは困るので、どうしたらいいんだ、と食いつくと、volunteerの学生が相談に乗ってくれるからそこへ行け、というので、さっそく行って来ました。Union Buildingの一室にたくさんのvolunteerの学生さんと指導者の方がおられ、大勢の留学生が相談に来ていました。そこで、僕も自分の問題点について相談に乗ってもらい、自分で記入したformもチェックしてもらいました。非常に助かりました。他の大学でも同じようなサービスがあると思いますので、是非探してみてください。

 というわけで、tax returnは大変面倒な作業でしたが、自分の収入の状況、税の状況など色々勉強でき、また記入に関する問題をクリアするために色んな人と話す機会を持つことが出来て、英語の練習にもなりました。来年は学振からの収入になるので、また色々面倒なことになりそうです。

ではまた。

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