ZIONでのcamp |
Labの仲間とのZION national parkでのcampのお話
先月ラボのランチルームで、chemistryからこの夏の間だけ実験しに来ているMomoというユーゴスラビア出身の大学院生と、うちのラボのJonがコーヒーを飲みながら話をしていて、僕もその雑談に入れてもらいました。その時突然ZION national parkにcampに行く計画を今練っているんだけれど、Seijiも行くかい?と言うのです。その週末は特に用事もなかったので、仲間に入れてもらうことにしました。campはこちらへ来て初めてで、しかもアメリカ人と一緒に行くとなるとどんな感じなのか、新たな体験を前にして非常にわくわくしました。
ZION national parkはユタ州の南部のアリゾナとの境に近い所にあり、Salt Lake CityからはI15という高速を通って車で約5時間かかります。ユタ州南部にある多くの国立公園の中でも規模は大きな方で、人気も高く、hiking用のtrailもたくさんあります。なんと言っても見所は巨大な岩で作られている地形でしょう。日本では決して見られないようなスケールの大きさを感じることができます。中でも有名なのが、両側を巨大な岩に囲まれた川のなかを歩いていく、narrowsとよばれるtrailと、絶壁の中を歩くangels landingと呼ばれるtrailでしょう。narrowsに関しては今回、angels landingについては次回お話しします。
日程は7/14.15.16の金・土・日の3日間。金曜の夜にSalt Lake Cityを出て、ZIONに夜中に到着、翌土曜日にZIONの観光名所であるnarrowsへhikingに出かけます。その日の夜は、Lava pointというZIONの北西部にある山頂のcamp siteでテントを張り、日曜日にleft fork creekと呼ばれる川を下る(途中にsubwayと呼ばれるトンネル上の地形がある)hikingを行い、その日の夜中にSalt Lake Cityへ戻ってくるというものでした。参加メンバーは僕を含めて5人。Seiji, Jon, Momo, Grace (Momo's wife), Bruce (Jon's friend). Momoの奥さんのGraceとは数回会った程度の知り合いで、Jonの友達のBruceとは今回が初顔合わせです。僕はtentなどのセットを何も持っていないのですが、tentはJonが貸してくれて、夜寝るときのために必要なmatはラボのTimが貸してくれました。また、これらの装備は大学のrecreation centerへ行けば、安く借りることもできます。また、水を入れるタンク、炊事用のコンロやまな板等は、Momoが一式持っていたので、それも僕は準備する必要はありませんでした。僕が準備したのは、
翌朝、MomoたちはSubwayへのhikingのpermitをもらいに、朝6時半頃にZIONのvisitor centerへ出かけていきました。Subwayへのhikingはやや危険を伴うので、permitがないと行くことが出来ません。数カ所、ロープを使って岩をくだらなければならないようです。かれらが無事permitを手に入れて30分ほどして戻ってきたので、朝ご飯の支度を始めました。朝は、卵焼き、ソーセージ、ハッシュドポテトとミルク。Momoの持ってきたコンロで調理をして、みんなで食べました。それからお昼ご飯の支度。お昼は、hikingの途中でサンドイッチを食べることにしていました。そこで、スライスされたパンに、ハム、チーズ、レタス、トマトをのせたものを一人3つぐらいずつ作りました。それらをZIP Lockの袋に入れて各自バックパックに詰めてさあhikingの準備OKです。テントを畳んで、campしたところの後かたづけを済ませたら、早速ZIONの中へ。Momoがnational parkのpassを持っていたので、入園料を払わずに入ることが出来ました。Visitor centerでnarrowsの様子を聞いたところ、flushの確率が40%とのこと。narrowsは川幅があまり広くなく、かつ両サイドは巨大な岩で出来た崖になっているため、上流で雨が降ると、鉄砲水が流れておぼれてしまうのです。迷いましたが、とりあえず行ってみることに。ZIONの中は、車の通行は制限されていて、一般車はvisitor centerのparkingに停めておき、そこからはシャトルバスを利用しなければなりません。これは、ZIONの自然を排気ガスから守ること、増え続ける入場者による車の量を制限することを目的としていて、今年から始まったのだそうです。ただし、秋から春にかけては、入園者が減るため、このシステムは停止するようです。
さて、シャトルバスで終点まで行き、そこからnarrowsの入り口まで舗装された道を15分ぐらい歩くと、narrowsの入り口に到着。ここから、Tシャツに海水パンツ、サンダルと言う出で立ちで、川の中をじゃぶじゃぶ言わせながら歩いていきます。岩の美しいこと! 川の水のきれいなこと! Crystal clear!というそうです。水は冷たいのですが、直ぐになれました。天気も次第に良くなってきたので、Momoの推薦するphoto pointまで2時間ほど歩くことに。途中で昼ご飯の休憩をしながら、ゆっくりゆっくり歩いていきます。とはいっても、僕以外の連中はみんな歩くのが速い! narrowsは川底がつるつるの石で成り立っているので、川の流れもあって歩きにくいんですが、みんな上手に歩いていきます。ふと周りを見ると、夏と言うこともあってか、ビキニ姿の女性陣が一杯! 別の意味での目の保養にも! しばらく行くと、川が分岐しているところに到着し、僕らは右側の細い方の川を更に奥へ進むことにしました。ここがまた何とも言えない美しさ! 静かで、厳かで、歩くたびに神妙な気分に。ところが、少し行くとそれまでのおだやかな地形から一変して、ごつごつの岩が組み合わさり、前へ進むのが難しいところへ到着。ここからがアメリカ人の本領発揮です。僕は内心「これ以上先へは進めないだろう」と思っていたのですが、みんなはなんとかして奥へ行こうというのです。勇敢なBruceやMomoやJonが前に立ち、道を調べて、岩を登り、彼らにバックパックを渡してから僕と女性のGraceが登ると言う、チームプレーを何度か繰り返して、たどり着いたのが身長190 cm近いJonですら立てないような深〜い池。その先は断崖絶壁になっていて、全く進めません。ここまで僕らも何度か泳ぎながら前へ進んできたのですが、ついにこの地点で断念! そして、きた道を戻ってきたのですが、途中苦労して登ってきたところを今度はくだらなくてはならず、サンダルでは滑るということもあってなかなか怖い! どうにも怖いので水の中へ飛び下りたり(写真)しました。まあ無事にvisitor centerへ戻ることができました。それから、近くの町へ出てアイスクリームと少しの食糧を補給し、車でLava pointにあるcamp siteへ移動。予約も料金も要らないところでした。テーブルと、調理用の小さな竈があります。またここは山のてっぺんなので、とても涼しく、星がとってもきれいでした。カシオペアや北斗七星(Big dipper!)がはっきりと見えました。本来ならromanticな感じになるところですが、MomoとGraceのカップルはともかく、僕とJon, Bruceの野郎トリオでは「きれいだね」で終わり! この日の晩は炭でステーキを焼き、またコーンも焼いて食べました。Momoの話では、ユーゴでは、コーンの収穫の時に家族で取れたてのコーンをゆでて(あるいは焼いて)畑の中で食べるのだそうです。この晩に食べたコーンの甘いこと! 僕が日本では、しょうゆで焼いて食べるんだよ、と話すとみんな知らないらしく今度の機会にはしょうゆを僕が持ってきて実演することになりました。あの香ばしさがアメリカ人に通用するかどうか!?
さて、日曜の朝はみんな少しゆっくりめに起きたために、朝ご飯を食べてSubwayへ向けて出発したのは11時でした。車を1台終点ポイントに置き、もう1台で始点ポイントへ移動して、さあ出発です。今日は9マイルを7〜9時間で歩くことになっていました。とはいえ、行程のほとんどが下りなので、それほど疲れない予定。最初は草原の中を歩いて、しばらくするとパイの皮のような岩の上をしばらく歩くことに。何とも言えないすごい風景の中を歩いていきます。このあたりから、だんだん道が険しくなり、恐がりの僕はたいてい後ろの方でゆっくりと歩くことに。2時間ほど歩くと、Left forkと呼ばれる川に合流。それまでは厳しい日の光にさらされていたのですが、ここからは周りをまたもや崖に囲まれて、暑さはあまり感じなくなりました。サンダルに履き替え、Tシャツに海水パンツと言う昨日の格好でまた川の中を進んでいきます。昨日と違うのは、地形がかなり険しく、Hikingというより、岩を降りていくところでしょうか。滑るサンダルを気にしながら、細い崖の道を行ったり、木に引っかけたロープを使って岩を下ったり、なかなかscaryかつexcitingでした。また、何カ所か泳いで渡らなければならないところもあり(足が着かない)、これもまたexciting. あまり水がきれいでないので、女性はいやがるかもしれません。ま、そんなところを気にせずにどんどん行くと、ついにsubwayとよばれるポイントに到着。ここは陳腐な言葉で申し訳ないですがawesome! 川が大きく右へカーブしていて、そのカーブのところで岩が大きく削られ、地下鉄のホームのような感じになっています。水がcrystal clearで、またちょうどお風呂のような大きさの穴が数個開いていて、なんとも美しい。早速飛び込んでみましたが、水が冷たくて数分でgive up! このtrailはさすがに危険なのか、今日は1組しかすれ違うことがなく、subwayに着いたときも、僕ら以外には誰もいなくて、存分に雰囲気を楽しみました。しか〜し。この時点でもう既に4時半。ここから終点までまだしばらくあるのです。5時頃subwayを後にして、川を下っていきます。怖いポイントはもうほとんどなく、快調に下っていったのですが、車を止めて置いたポイントへ向かう道を見失ってしまいました。車を運転していたMomoが「あのcanyonの反対側のはずなんだが」というので、川を離れてtrailらしきところを登っていったのですが、実はそこはtrailではなく、せっかく苦労して登ったにもかかわらず行き先がクリアになりません。しかたなく川まで戻って、もうしばらく進むことに。この時点で7時過ぎ。水は底をつき、体力もそろそろ果てそうでした。でもここでめげないのがアメリカ人。Momoはみんなのために川の水をくんで、それをiodineで消毒して、15分後に中和させ、飲み水にしてくれました。これはありがたかった。また、JonやBruceは全く疲れた顔を見せず、相変わらずjokeをとばしています。Momoは道を探りながら、ここを行こう、と的確な判断をして、本当に頼りになります。彼は時々奥さんのGraceの手助けをしたりして、その勇敢な所は本当に素晴らしいと尊敬しました。Graceも疲れたようでしたが、頑張っています。僕も負けていられません。だんだん暗くなってきて、次第に不安も増してきたとき、ついにtrailのsignを発見。俄然みんな力が出てきます。うぉーと言いながら、急な坂を必死で登りきり、肩で息をしながらやっと平坦な道にたどり着いたとき、耳に車の音が! そう、ついに道路の近くまでやってきたのです! ようやくparking pointにたどり着いたのが、8時半。ほとんど日は沈みかけていました。
それから、I15に乗ってceder cityとNephiで休憩した後、無事Salt Lake Cityへ戻ってきたのが朝の3時。運転したMomoとGraceには本当に感謝しています。
今回のcampは本当に楽しく、そして自然のすばらしさを堪能することが出来ました。でも、一番僕が感動したのは、愛すべき仲間たちのこと。去年の山登りもそうでしたが、今回のcampは一生心に残ることでしょう。絶対にあきらめず、目の前にある困難を最前の方法を尽くして乗り越えようとするその気持ち、判断力、勇気、どんなときもめげない体力と気迫、Jokeをとばせる気持ちの余裕。奥さんを助ける夫婦の絆。今回のメンバーは全員僕より4つも5つも年下なのですが、彼らの方がずっと大人に思えてなりませんでした。Momo, Jon, Grace, Bruce, excitingな週末を本当にありがとう。
翌日僕の足がひどい筋肉痛になったことは予想通りでした・・・
また、Jonが次の日僕に言うには、「Seiji, 今回のcampは予想通りだったかい? 僕はそうではないね。もうしばらくはcampはこりごりだ!。」本心なのか、jokeなのかわかりませんが、彼にとってもexcitingなcampだったみたいです。
写真集
土曜の朝にcamp siteで喜びの danceを踊るJonと筆者 |
narrowsの風景 |
narrowsにてcampのmember 左からBruce, Grace, Momo, Jon |
narrowsの奥で池に向かって飛び下りる筆者 |
subwayに向かうtrailにて |
これがsubwayの全景です |
これがsubwayの少し先のpointにて |
これがsubwayの少し先のpointにて.2 |