アメリカのTV


 みなさんこんにちは。お元気でしょうか。Utahも秋終盤に差し掛かっています。もうすぐ雪の季節ですね。紅葉した木の葉はだいぶん散ってしまいました。僕の心も少しだけセンチメンタルな感じです。

 さて、今週はアメリカのTV番組について少しお話ししましょう。オリンピックも終わって秋本番になった10月になると、TV番組の新しいシーズンが始まります。日本では、1年を4つのクールに区切って、1・4・7・10月に新番組がスタートしますが、アメリカでは9−10月にシーズンが始まり、次の年の5月に終了します。6月から9月にかけては、夏休み期間となり、主に再放送が主体で番組表が組まれるようです。ただ、夏の期間でも新番組はあって、今年はCBSのsuvivorという番組が夏の期間大当たりしていました。僕は結局見なかったのですが、「電波少年」のような番組だったようです。

 それではアメリカのTVの特徴を少し書いてみましょう。

Network
アメリカにはnetworkと呼ばれる全米を網羅しているTV局があります。CBS, ABC, NBCが3大networkで、最近これにFOX, UPN, WBが加わりました。日本でも放送されているアメリカの有名な番組はだいたいこの6つの局と、ケーブルnetworkのHBOで作られていると思います。アメリカでも視聴率というのは重要で、新番組の宣伝にはとても力を入れています。NBCは、オリンピック中継の間のCMで何度も新番組の宣伝をするものですから、さすがに番組の名前を覚えてしまいました。視聴率(こちらでは何人見ているかを示すViewersと言う数値で示されます)の一覧表は、Nielsen media researchという会社で集計されているようで、internetでもチェックできますし、僕の愛読しているEntertainment weeklyという雑誌でも見られます。これによると、やはり人気のある番組は、3大network製作のものが半数以上を占めています。後進の3局はまだまだのようですね。

Animation, Game show, Talk show
 アメリカの番組は大きく分けるとDrama, Comedy, News, talk show, Game show、といったところになるのでしょうか。日本に比べるとアニメはあまり放送されていません。アニメだと、Simpsonsというちょっとどきつい内容のがこちらでは人気です。ちなみに土曜にはPokemonがやってます(もちろん英語)。Game showでは、Who wants to be a millionaireが大人気です。僕も一度番組を見ましたが、問題は4択で非常に簡単な感じがしました。今までにクイズを全問正解してmillionaireになった人が何人かいるようですが、その人たちは相変わらず自分の仕事を続けているようですよ。Talk showというのは日本で言えば「笑っていいとも」のような番組で、こちらでは主に夜に放送されています。有名なのは、Late show with David Litterman (CBS)Tonight show with Jay Leno(NBC)ですね。この2つは似通った内容の番組なのですが、hostのDavidとJayが非常に個性的で、彼らのtalkやjokeで番組の独自性が現れています。どちらも、約1時間ほどの番組で、最初hostのtalk(しゃべり)があり、次に曜日ごとのjoke cornerがあります。たいてい有名人のNewsのパロディーですが、これがめちゃくちゃ面白いです。言葉で笑わせるときもありますが、たいていは視覚で笑わせるので僕でも大笑いしてしまいます。「ハロウィンにこんなプレゼントはどうかな?」とか、「街で見つけた変な記事」とか、結構笑えます。次に「いいとも」のテレフォンショッキングのような、ゲストを迎えてのトークがあります。Tonight showの場合たいてい一日に2人のゲストとmusicゲストが一組です。ゲストは公開直前の映画の出演者であったり、TVの主演俳優であったり、singerだったりと様々です。最近ではpresidential electionのシーズンなので政治家も現れます。結構有名な人が出てくるので、ここでアメリカの有名人を勉強したりしています。ゲストとのtalkの後はmusic guestによるステージがあります。見ていると口パクは無いみたい。この間Christina Aguileraという歌手が出ていましたが、とにかく圧倒的にうまい。声の質、量、awesomeとしかいいようがなかったです。というわけで、僕はこのtonight showをよく見ています。

Drama and Comedy
 アメリカでも、TVの主役はやはりdramaとcomedyでしょうね。僕も良くdramaとcomedyを録画してみています。僕のお気に入りは、The Practice(ABC), The west wing(NBC), Law and Order(NBC), Ally McBeal(FOX), Charmed(WB), Caroline in the city(NBC), Friends(NBC), Sex in the city(HBO), Touched by an angel(CBS)です。こちらのdramaはたいてい1時間、comedyは30分ものが多いです。面白いことに、1時間番組であれば、1時間きっかり放送されます。例えばAlly McBealは月曜夜8時から9時の放送ですが、8時ぴったりに始まり、9時ぴったりに終わります。ただ、間のCMは非常に長いです(もちろん、HBOのようなケーブルchではCMはほとんどないですが)。こちらのドラマは硬派なものが多く、comedyもあまり下品なものはありません。下ネタで笑わせることはあまりなく、相手を傷つけるような笑いもなく、実にさわやかな感じです。みていて嫌な気分になりません。ただ、FoxでやっているMad TVは結構えげつないネタで笑わせますが(人種差別ネタ、子供虐待ネタなど)。Friendsというもう何年も続いているcomedyが今も高視聴率を保ち続けている理由は、いつだったか雑誌で読んだのですが、「ののしりあったり、悪口を叫んだり、暴力を振るったりするシーンが無く、登場人物はいつもお互いのことを思いやるいいfriendsであるから」ということのようです。暴力が深刻な問題になっているアメリカ社会では、TVの中では、そういうえげつないシーンのない、理想の世界を描くことを求められているのでしょう。同じ事が、white houseをモチーフとした政治ドラマのthe west wingにもいえます。暴力シーンの全くないこのドラマでは、presidentとその側近がどうやって課題をこなしていくのかを、非常に上手に捉えているように思います。超のつくエリートの集団であるwhite houseのworkersなのですが、彼らの見せる人間味あふれる姿が、政治をより身近なものにしている気がします。見ていて良くもまあ口があんな風に廻るものだと感心しますが、真剣な議論の場でも常にjokeを欠かさず、serious過ぎることのないように工夫するアメリカ人の姿は非常に興味深いです。The practice, Law and order, Ally McBealといった法廷もの(Allyはcomedyです)にはいつも考えさせられます。特にLaw and Orderの提示する課題はいつも重く、毎回の結末のシーンは涙無くしては見られません。このドラマは、主に殺人事件を扱う警察側と、警察の調査を元に事件を裁判所に報告する検察官の話です。見所は殺人事件の背後に潜む深い問題点をえぐり出し、犯罪の問題点を陪審員に報告するclosingのシーンです。検察の訴え方と弁護側の訴え方の違いには、いつもうなります。事件をこんな風に解釈できるのか、と新たな発見がいつもあり、すごいドラマです。それにしても言葉を駆使して相手に訴えることの重要さをこのドラマでは思い知らされます。もともと話がへたくそな自分には、とてもうらやましく、また目標でもあります。Touched by an Angelというのは、アメリカならではの宗教ドラマです。God(キリスト)から送られてきた天使が、地上の生活に悩んでいる人たちの問題を解決していく話なのですが、「神はあなたをいつも見ています」「God Bless You」というのがいつもの決め言葉なのです。天使たちは悩む人たちの周りに現れて、いつの間にか友達になっていくのですが、その人たちが本当に難しい局面に達したとき、天使たちは光り輝きだし、自分たちは天使で、神が自分を悩んでいるあなたの元へ行くように指示されたことを告白します。そこで、神の偉大さや、今こそ神に祈り自分に素直になること、神に祈る過程で自分の答えを見いだせることを彼らに話すのです。そうして、問題は解決してよかったよかったとなるわけですが、日本では絶対にうけなさそうなこのドラマ、アメリカでは最も人気のあるドラマの一つです。ちなみに、昨シーズン最も視聴率が高かったドラマはER, ComedyはFriendsでした。Ally McBealは39位でした。

Emmy award
 日本ではありませんが、アメリカでは年に1回テレビの番組を評価する機会があります。それがEmmy award(エミー賞)です。アメリカのart departmentにあたる機関が、各シーズン中もっとも素晴らしい番組(カテゴリー別)を表彰します。アカデミー賞のテレビ版ですね。毎年9月上旬の日曜日にゴールデンタイムを使ってその模様が放送されます。今年は、

  1. Drama series: The west wing (NBC)
  2. Lead actor in drama: James Gandolfini 'The sopranos' (HBO)
  3. Lead actress in drama: Sela Ward 'Once and Again' (ABC)
  4. Comedy series: Will and Grace (NBC)
  5. Lead actor in comedy: Michael J. Fox 'Spin City' (ABC)
  6. Lead actress in comedy: Patricia Heaton 'Everybody loves Raymond' (CBS)

という結果でした。supporting actor, actress, writingなどを合わせると、The west wingが9つの賞を今回のEmmyで獲得しました。

 というわけで、だらだらと書きましたが、今回はここまでです。

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