アメリカで生活すると言うこと


 みなさんこんにちは。今日はthanksgiving dayで、大学はお休みです。downtownのお店もほとんどが休んでいて、とても静かです。今日が終わると、一気にクリスマスモードへと入っていきます。先々週・先週の雪の日々とはうって変わって、気温は低いけれども穏やかな晴天の日々がこの所続いていて、気持ちもなんだか落ち着いています。
 さて、前回少しnegativeな自分の気持ちを書いてしまったために、読んでくださった方々に心配をおかけしてしまったようで、申し訳ありませんでした。もともと私は内向的な性格なため後ろ向きになってしまうことが良くあります。でもそう言う気持ちは誰もが見られるweb上に書くものではありませんでしたね。反省しています。

 そこで今回はもう少し前向きにアメリカでの生活を見直してみたいと思います。
おかげさまで、Utahでの滞在も無事に中間地点にやってきました。ただただ圧倒されるばかりであった1年目を終えて、今は少しだけですが余裕が出てきて、文化の違いを楽しむことも出来るようになってきました。最近特に強く感じることは、「チャンスは平等に与えられる社会」と言うことと、「(良くも悪くも)自分の意見をしっかり言える人が多い」ということです。会話の途中で頻繁にBecause....というsentenceを聞きます。ある意見を言うと、必ずその理由を述べてくれるのです。このことは日本とはちょっと違いますね。チャンスについては、働く女性の多さには驚かされます。我がBiology departmentでも、半分くらいが女性です。その多くがすでに結婚していて、しかも、赤ちゃんをつい先日産んだばかりという女性が実験していたりします。セミナーのspeakerも半分が女性であり、議論でもみんな本当に堂々としています。TVでも、多くのシーンで働く女性の姿をとらえていました。これは日本とは大きく異なるところです。この間ポスドクで薬学部に来ている女性と話す機会がありましたが、その方も働く環境の違いを理由に、こちらへ新天地を求めてやってきたのだそうです。また、数週間前の新聞で横山ノックのセクハラ裁判のレポートが載せられていました。予想したとおり、記事の内容は日本の女性の労働環境の悪さを指摘するもので、今回の裁判がいかに大きなインパクトを女性に与えたかを論じていました。そんなことがあったので、うちの同僚のTimに、アメリカ人女性の働く環境は日本よりも良いと思う、と言うことを話してみると、彼に寄れば、ここ30年ほどでずいぶんと環境が変わってきたのだそうです。能力さえあれば、男性と同じ待遇で働くことが出来るのはよいことなのですが、それによる「家族へのひずみ」が問題になってきているのだそうです。両親とも働いているために、子供は学校から帰ってくると自分でカギを開けて部屋へ入り、遅くまで親の顔を見ることなく生活しなければならないこと。これは日本でもそうなのでしょうけれど、犯罪との関わりから、大きな問題になっているようです。これと関連して、「家族」への意識というのが高いことにも気づきました。アメリカでは離婚率が高いことは良く知られていますが、今の若い人たちの世代では、両親が離婚しているケースが多いのでかえって自分たちの時には安定した家庭を築くよう努力しているのだそうです。父親と母親の間の役割分担もしっかりしていて、うちのボスはお子さんの幼稚園への送り迎えを担当しているので、夕方5時半には必ず帰宅になります。彼とはあまりdinnerを一緒に行くことがないのですが、それは、夜は家で家族と一緒に過ごすためだからなのです。その代わり朝はえらく早く来ていることがありますが・・・ こういうところは、自分は結構びっくりしました。女性の労働環境や家族に関しては、自分も考えさせられます。これから自分が築いて行くであろうそうした関係、しっかりとビジョンを持っていないと、まず相手となる女性が見つかりませんよね・・・

 始めに書いたように、ここでは「自分の意見をしっかり言える」ことが非常に重視されます。沈黙が金ではないのです。個人個人がしっかりしているように見えるのも、はっきりものを言うからなのだと最近思うようになりました。ことばの限りを尽くして相手を説得させたりなだめたり、黙らせたりするわけです。これは、科学者を志望する自分にとっては、何ともうらやましく見えるのです。理路整然と質問に対し答えを出す能力というのは、子供の頃から「言う」社会にいる人たちにとって、基本的なものなのではないかと、思えてきます。僕がもっともアメリカで拾得したいことの一つが、この力なのですが、そう簡単にはいきません。でも何とかしたい事の一つです。

 海外にいると、日本と言う国のことを意識する機会が増えます。アメリカの生活に慣れるに従い、日本の悪いところばかりが見えるときもありました。だから日本はだめなんだとか、思うことだって少なからずありました。でも、今は日本のpositiveな面もたくさん見えてきました。上に書いたような違うところもありますが、そんなにアメリカ人と日本人って違わないんだ、と思います。結局はいかに自分というものを持って生活するかと言うことなのでしょう。自分のことに自信を持ち、しっかりと信念の元に歩いていけば、どこの国へ行こうが、頑張れるのではないかと思います。もちろん、柔軟に文化を取り入れることも大事なことです。これからはひとつひとつ、自分のイメージを作りながら、より多くの人たちと交わって話をして、自分というものを磨いていきたいと思います。なんだか幼稚な文章になってしまいました。今回はここまでです。

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