帰国して感じたこと


 こんにちは。Utahも寒くなってきました。そろそろ雪が降るはずなんですが、まだ山の方に少しだけ降ったくらいです。さて、僕の方はUtahに戻ってきてそろそろ3週間が経ち、元の調子に戻ってがんばっています。前にも書きましたが今回の帰国の時にはいろいろと考えることがありました。まだ頭の中は整理できていませんが、いくつか思ったことを書いてみます。

2年前の前回の時は、かなりホームシックになっていたこともあり、とにかく日本に帰ることが嬉しくて仕方なかったのですが、今回は「仕事で帰る」という感じで、慌ただしく準備などをしていたために、「あ、と思ったら帰国の日が来た!」と言うところが正直な気持ちです。不思議なことに日本に帰っても、すぐに環境に溶け込んでしまい、よくいう逆カルチャーショックのようなものはほとんど感じなかったです。帰国の当日は、久しぶりの混雑した電車の車内にもなんだかすっと入っていくことができました。ちょっと感じたのは「日本人はみんな痩せている」、ということでしょうか。アメリカではとんでもなく太っている人が結構いるためにそう思えてしまうのかも知れませんね。そして久しぶりに実家に帰ると、さすがにホッとします。アメリカで一人で暮らしているので、父や母が仕事を早めに終えて待っていてくれたことは、やっぱり心に安らぎのようなものを感じます。誰か安心できる人が同じ屋根にいるというのは、こういうことなのかなと、こちらへ帰ってきてから思いました。日本のテレビはやはり耳にすっと入ってきます。NHKのニュース番組はアメリカにくらべると少し堅いかな。後で気付いたことですが、日本のテレビドラマはあまりえげつないシーンを放送しないですね。銃が鳴り響いたり、死体をみせたり、残酷なシーンがほとんどないことには感心しました。あと、キスシーンとかもかなり抑えた感じがします。ふだんLaw and OrderやHollywoodの映画では、拳銃で撃ち合い、死体がどんどん転がっているシーンが遠慮なく出てきますから。またこっちのドラマではキスシーンもかなり「堂々と」したもので、さらにHな言葉なんかもどんどんと出てきます(ただし、TVとはいえPG-13とかRとかのテロップは出ます)。そう言う意味では日本の番組はきちんと抑えるところは抑えているのかなと思いました。それと日本のコメンテーターさんや、解説の人がTVでしゃべっているのを聞くと、どうもクリアでない気がしました。何を言いたいのか、どうもはっきりしない人が結構いた気がします。英語圏ではとにかく言葉の限りを尽くして分かりやすく説明することが大切だから、TVでのコメントもずいぶん分かりやすいことが多いです。まあ、'Politically incorrect'のような討論番組では、よく人の話を全然聞かずに、その上からかぶせてしゃべってい ることがあって、それには憤慨しますけれどね。国会中継も朝やっていたので、少し見ていましたが、どうも揚げ足取りとか、やじが醜くて、何をやっているんだと思ったりもしました。

 さて、1週間程経ち日本にも慣れてくると、少しずつ違和感を感じることが出てきました。電車に乗る時にまったく降りる人を待たないで乗り込もうとする人がいてうんざりしたり、日本の道路は狭くてさらに車が多くてどうもごみごみした感じが気になったり、梅田の紀伊国屋書店など大きなお店に行くと物凄い人で、歩く時にもぶつからないようにしなければ行けなくて息苦しさを感じてしまったり。映画館に入ったら飲み物が異常に高く、そのくせコップを置くところが席になかったり。学会ではせっかくの発表にあまり質問が出てこなくて議論の足りなさを感じたり(とは言え今回は僕も控えめになってしまいました)。まあ日本のマイナスなところはそんなところだったでしょうか。いい点はやっぱり言葉の不自由さを感じないこと、友達や仲間、そして家族の有り難さを十二分に感じてきたこと。みなそれぞれの世界で、踏ん張っていること。

 そしてこちらへ帰ってきて、しばらく経ち、こちらの友人に「日本はどうだった?」と聞かれると、「今回の帰国で、日本の良さもアメリカの良さも、改めて認識したよ」と答えるようにしています。思えば初めてこちらに来て、アメリカの生活に慣れてきて、その良さばかり見えた時があり、日本の悪いところばかり見つけてしまうことがありましたが、今では自分はやはり日本で育ったことに誇りを感じているし、これからも自分は日本人であることを大事にして生きていくのだと、思えるようになりました。少し大袈裟ですが、日本の悪いところは(いずれ帰国した時に)微力ながらも直せるようにしていきたいと思っています。後、この間英語の先生のValerieと親友の結婚式の話をしていて、彼女に言われた印象深いことがあります。それは、「結婚って本当にエネルギーがいるものだよ。特にSeijiのように海外でしばらく暮らしているような人の場合、将来の結婚相手も同じ経験を持つ人でないとなかなか分かりあえ無いことが出てくるのではないかしら」というものでした。これには頷くものがありましたね。

 今回はここまで。次回は最近の自分の英語の状況についてお話しましょう。

留学生活報告のページへ戻る

メインページへ戻る