Gymnastic game again |
さて、オリンピックの報告は後にすることにして、今回はこのところはまっているUniversity of Utah women's gymnastic teamの話をしたいと思います。というのは、彼女達のホームゲームの試合を見に行き、非常に感激したからです。
University of Utahの女子体操チームはたったの11人の選手で構成されています。その全員がfull scholarshipを受けていて、厳しいselectionとrecriutを経てhireされた方達です。SeniorがShannon Bowles, Deidra Graham, Lindsay Tanner, Kylee Wagnerの4人、JuniorがKim Allan, Theresa Kulikowskiの2人、SophomoreがVeronique Leclerc, Melissa Vituj, Annie Medcalfの3人、そしてfreshmanがAnnabeth EberleとGritt Hofmannの2人です。このうち、Utah出身はDeidra Graham選手だけで、他はUSの他のstateが7人、カナダから2人、ドイツから1人という構成です。ヘッドコーチはGreg Marsdenさんで、Utesを率いてもう27年目です。Associate head coachは彼の奥さんのMegan Marsdenさん。MeganさんはかつてUtesの優秀な選手で全米チャンピオンにもなっています。Utesが凄いのは、これまでにチームとして全米チャンピオンにすでに10回なっていること、ホームゲームは166連勝中(1979年以来負け無し)、観客動員数はアメリカの大学女性スポーツでナンバーワンであることです。こまかいことは、Utes のweb siteを見て下さい。
今年は1月に3回ホームゲームがHuntsman centerで開かれました。1月11.18.25日金曜日です。前の報告で書いたように、11日には、友人と開幕戦を見に行き、彼女らの写真の載ったポスターにひとりづつサインしてもらった上に、あこがれのShannon Bowles選手には'Good Performance!'と、Theresa Kulikowski選手とはなんと会話をすることに成功してかなり舞い上がってしまいました。彼女の方から(僕の友人を見て)、'you guys came together?'と話し掛けてくれたのです! 僕が'Yes we did.'というと、'Where are you from?', 'We are from Japan' 'Really? Cool! How do you like here?' 'I like pretty much!' 'Oh yeah!? Thanks for coming tonight!' 'Thank you too'といった会話だったと思います。Kulikowski選手は思ったよりも声が渋くて驚きました。Bowles選手はとてもきれいで、'Oh thank you!'と素敵な笑顔を見せてくれたのが本当に印象的でした。この日はOhio State univ.を簡単に下したのですが、Kulikowski選手はUneven Barsから落ちてひざを打ってしまい、大事をとってfloorの演技はパスとなりました。All roundのleaderはBowles選手がgetしていました。このサイン会は、試合終了後だったのですが、ものすごい数のファンが並んで待っていて、1時間ほどかけてひとりひとりサインしていく彼女らに心を動かされました。緒戦で疲れているだろうに、嫌な顔を一つ見せないで、ひとりひとりに声をかけ、thanks for comingと挨拶をしている彼女らには頭が下がる思いでした。目の前で見る彼女らは、やっぱり小さくて、でもひとり一人の顔はとても大人びていました。SeniorのDeidra Graham選手は150cmしか身長がないので、観客席からみると小学生のようにも見えますが、実際に近くで会うと大学生の素敵な女性なのでした。
18日にはUniversity of Arizonaとの試合がありました。僕はこの週何をやってもうまく行かず、非常にフラストレーションがたまっていました。あまりにも気持ちがダメな方向に向くので、急遽予定を変更してゲームを見に行ったのです。それが、本当にプラスに働きました。この日は朝から大雪で、街は真っ白、観客も雪のため少ないかと思われましたが7000人をこえる観客が応援に来ました。会場に入り、ブラスバンドがUtahのテーマソングを始めた時、僕のフラストレーションはすっと消えていきました。いつも思うのですが、大学のチーム共通のニックネーム、テーマソングがあるとほんとに盛り上がりますね。みんな総立ちで、手拍子をしながら、最後にGO UTES!とshoutすると、とっても気持ちよくて、心がすっとするのでした。その後選手の入場がいつものように行われ(これも花火とか上がって凄いんですよ)、アメリカ国歌の斉唱があるのですが、これがまたなんともいえず楽しいんです。自分はアメリカ人ではないのに、手を胸に置き、旗を見つめながら、ゲストの歌手が歌う国歌を厳かに聴くのはいい感じです。日本も「君が代」に変わる新しいイメージの国歌を導入して、過去とは結び付けないようにすればいいのではないかと思います。特に今はSept.11の後なので、なおさら国歌斉唱はアメリカ人の愛国心を見るようで、興味深いのでした。ところで、現在のところ、Utesで一番人気が高いのは、Theresa Kulikowski選手で、その次がShannon Bowles選手、続いてDeidra Graham選手ですね。入場シーンでの拍手の大きさは、Kulikowski選手の時に一段と大きくなります。この日はその、僕のお気に入りでもあるKulikowski選手がBarsとfloorに復帰しました。競技は4種目で、UtesはVault(あん馬)、Uneven Bars(段違い平行棒)、Beam(平均台)、floor(ゆか)の順番に行っていきます。Kulikowski選手は実は本当の学年はSeniorにあたるのですが、2年前に大怪我をして1年を棒にふってしまい、もう一年Utesでplayすることを認められたのだそうです。大怪我をする前のfreshmanのシーズンでは、all aroundとBeamの全米チャンピオンに輝き、Sophomoreとして復帰した昨年は再びBeamで全米チャンピオンになっています。昨年はBeamとBarsだけの演技でしたが、本来は4種目すべてをこなす選手だったわけなんです。その彼女がまず前の週で転落したBarsに登場しました。Utesは最初のVaultでミスが目立ち、予想を大きく下回る低いポイントに終わってしまいました。ところが、Barsに入ってからはまるで全く別のチームのようなすばらしい演技が続きました。SophomoreのLeclerc選手とVituj選手、JuniorのAllan選手、そしてseniorのGraham選手とBowles選手がいずれもハイスコアで演技を終えてKulikowski選手が出てきました。ものすごくかたい表情で、遠くから見ていても緊張しているのが分かります。観客はものすごい拍手で彼女を迎え、そして心の中で「怪我をしないで!」と祈っていたに違いありません。僕も目をつぶっていたいくらいでしたが、その緊張はまったくの杞憂に終わりました。何の知識もなく初めて彼女を見たときに覚えたあの印象と同じ、一つ一つの動作が正確で美しく、見る人の息を飲みこんでいきます。そして魅せた最後のまるで曲芸のような宙返りとほぼ完璧な着地! 彼女が無事に着地した瞬間会場のほぼ全員が総立ちになり割れんばかりの拍手と大歓声!!! 10.00のボードが会場の全域に渡ってかかげられました。可哀想に、相手チームのVaultの演技の間も興奮はさめず、そして、10.00(満点)が出た時には会場の熱気も最高潮に達しました。僕はなんというか、もう、心が震えるというか、何も言えませんでした。その大きな感激を、瞬間を、7000人の大観客と共有できたことのうれしさ、転落の恐怖を乗り越えて満点の演技を見せてくれた彼女の勇気に、心が大きく動いたのです。実験の失敗ははっきりいって些細なことになっていました。Utesはその後も快進撃を続けました。Beamはほぼ全員完璧な演技で、最後のfloorもすごかったです。freshmanのLeclerc選手のゴム毬のように跳ねる若さ溢れる演技(ベートーベンの「運命」をモチーフにしたmusicも最高)もよかったのですが、この日のひとつのハイライトは、やはりKulikowski選手の怪我からの復帰後初めてのゆかの演技でした。2年ぶりの演技を会場の観客は大きな拍手で迎えました。consistentな、ミスのない演技、高いジャンプに観客は酔ったことでしょう。彼女は9.95の満点に近い点数でした。大満足で帰ってきて、2日後に僕も結果が出ました。
25日はstaff dayということで、staffはただだったので、英語のクラスの仲間や最近知り会った新しい日本人の友人たちを誘って再び見に行きました。この日はオリンピック前最後のホームゲームであるということ、先週Kulikowski選手が10.00を出したということもあり、10.000人をこえる大観衆になりました。そして、幸せなことに、この日もkulikowski選手のBarsでの10.00を見ることができました。今週の方がさらに完璧さをましていて、初めて体操を見に来た友人や、実際に高校時代に体操をやっていたという友人も、彼女の演技の時には目を見張っていました。この日のポイントは僕的には3つありました。一つはfreshmanのEberle選手が先週にくらべ随分良くなったこと。彼女は今週はVaultとfloorでエントリーしていて、Beamはエキシビジョンということで演技をしたのですが、164cmとチームの中では大柄な彼女の演技はダイナミックで、ミスもなくて非常に有望な感じがしました。彼女はまた御人形さんのようにきれいなお顔の持ち主なので、人気もこれから出てくることでしょう。もう一つはDeidra Graham選手の演技がこの日は本当に良かったことです。4種目すべてにおいて彼女の持ち味が本当によく出ていて自信に満ちあふれていた気がしました。この日の最高ポイントを彼女が挙げています。そして最後は、僕の大好きなShannon Bowles選手のfloorが今日も本当に良かったことです。彼女のfloorはKulikowski選手の演技とはまた違ったすばらしさがあります。鍛え上げられた彼女の肉体(本当に凄い)が躍動して、本当にダイナミックなのです。Graham選手やLeclerc選手がゴム毬のように跳ねる躍動感のある演技とすれば、同じ小柄なVituj選手はかわいらしさを全面に出す若さ溢れる演技。Eberle選手やKulikowski選手は手堅い正確な演技でしょうか。一方のBowles選手はなんというか、スケールの大きな演技で、セクシーな感じがします。一つ一つの動きが本当に小さな彼女を大きく見せて、またなんとも言えない大人の雰囲気がかもし出されるのです。一緒に来た体操経験者の友人に聞いても、Kulikowski選手のBarsは安心して楽しむことができたけど、印象に一番残ったのはBowles選手のfloorだったのだそうです。Bowles選手も数年前に命に関わる大怪我をしたのですが、それを乗り越えて今輝いているのです(彼女の復帰ストーリーはSalt Lake Tribuneにも特集で取り上げらました)。というわけで、この日も非常に満足して帰ってきました。3月にはまた3試合ホームであるので、また見に行く予定です。今の僕の好きな演技は、Leclerc選手のVault, Kulikowski選手のBars, Beam, Bowles選手のBeamとfloorですね。
最後に、僕が彼女らに本当に感心するのは、結果を出して当然のチームにいることの厳しさを乗り越え、プレッシャーのかかる大観衆の前でこれだけのすばらしい演技を見せることができることですね。本当にすごい。しかも彼女らは学問もきちんと両立しているらしいのです。とんでもないですね。たくさんのTVコマーシャルを流され、宣伝もかなりすごいです。Uのfootballよりもすごいんではないでしょうか。freshmanのVituj選手は今もっとも輝いている選手の一人ですが、彼女が昨年のシーズン初めてHuntsman centerに選手として入場を果たした時、観客の多さと華やかさに感動して涙がとまらなかったのだそうです。誰もが、University of Utahの体操の試合環境は全米の中でもトップであるといいます。そんな会場で演技のできる彼女達は、プレッシャーもあるだろうけれど、幸せなのではないかと思いました。僕も彼女らからずいぶんパワーをもらった気がしています。頑張りたいと思います。