今年のtax return |
さて今回は少し面倒であった今年のtax returnについて報告しましょう。最初に自分の逃げ道を作っておきますが(すみません)、あくまでこれは今回僕が行った作業であり、現在のところIRSからは特に何も文句を言われていないというだけです。そのため、今回の報告はあくまでもtax returnを行う際の参考程度にして下さい。訪問者の方々のtax returnに関する責任は当方では負いかねますので、どうかその旨御理解いただけるようよろしくお願いします。なお、僕の記述に問題がある場合は、御指摘御指導の方お願いします。
US incomeにより滞在している研究者のtax return(復習)
アメリカ側から給料をもらっているJ-1 VISA holderの研究者の方は、1042SとW2というformを年度末となる12月にもらっているはずで、それをもとに、確定申告(tax return)をする義務があります。面倒なことに、たとえ税金が免除になっていても、確定申告だけはしなければならないのです。どのformで申告するかは、substantial presence testと扶養者がいるかどうかで決まります。最初の2年は、このテストでnon resident alienとなりますので、1040NR(扶養者がいる場合)1040NR-EZ(独身の場合)を使います。さらに、日本とアメリカの間で決められたtreatyにより、J-1 VISA holderはUSに到着してから2年は税金を免除されています。それは、IRS (Internal Revenue Service)が発行しているPublication 901の14-15ページ、'Professors, Teachers, and Researchers' 'JAPAN'の項目に明記されています。Article numberでは、Article 19に同じことが記載されています。
ところが、3年目になると、このtreatyの有効期限がきれるので、J-1 VISA holderであろうとも、税金を納めなければなりません。さらに、substantial presence testにより、resident alienとなりますので、一般のアメリカ国籍を持つ人と同じform 1040で確定申告をしなければならなくなります。私の先輩も、3年目になると税金で収入が大きく減ってしまい、苦労されていました。東海岸では、3年目になると生活が苦しくなるので、2年でまとめて帰国される方もいるのだそうです。
私の場合
さて、日本学術振興会の海外特別研究員に採用され、日本由来のFellowship grantで生活しており、US incomeのない私の場合は少しややこしいことになります。昨年の報告で「2001年度はUS incomeがないので、税金を取られることもないし確定申告をしなくても良い」ということをwebにのせた後、東海岸にお住いの方から丁寧なメールを頂きました。そこで指摘されたのは、私は3年目になるので、もはやnon resident alienではなくなることから、課税対象はworld wideとなり、日本由来のfellowshipでも税金を取られるのではないか、ということでした。とてもありがたい御指摘を頂いて感謝しています。で、言われてみればそうなので、心配していました。ところが、12月になっても1042SとW2は届かず、IRSからも何の通知もありません。3月になったので、準備をすべく、大学のtax officeへ行きましたが、そこでは個人のtaxに関する質問には一切応えられないといわれてしまいました。仕方がないので、前に話したbusiness departmentの学生さんのボランティアが開いているworkshopに行きましたが、ものすごい人だったので諦めました。メールを頂いた方に、IRSは意外にも親切ですよ、と教えていただいたので、腹を据えて少し自分で調べてみて、IRSに電話することにしました。
まずは、Publication 520: Scholarships and Fellowships, Publication 519: US Tax guide for AliensをIRSのweb siteからPDF fileで取り寄せて、fellowshipへの課税に関して調べてみました。いろいろ調べてみて、見つけた記述によれば以下の通りでした。それは、Pub 519のpage 52 (Q & A)にある、'Do I have to pay taxes on my scholarship?'に対する答えの部分で、「もしあなたがnon resident alienで、かつscholarshipがUS sourcesでない場合は、課税対象にはならない。しかし、あなたがresident alienである場合は、課税対象になる。」 どうやら、税金を払わなければならないようです。
IRSは意外にも親切でわかりやすい
そこで、意を決して4月1日早朝7時、IRSに電話して相談することにしました。Publication 519には2つの番号が書かれています。Taxpayer advocateというコンサルタント(1-877-777-4778)か、IRS(1-800-829-1040)です。adovocateの方が案内を見ると何となく良さげでしたので、まずそちらに電話しましたが、どういうわけか電話が通じません。仕方がないので、たらい回しにされるのを覚悟の上で、IRSへ電話しました。案の定、録音された声が出迎え、指示に従って進みます。3年前は嫌でしょうがなかったこの作業にも、最近は慣れてきました。そして、待つこと15分ほどで、最初の人と話ができました。しかし、その女性は、あなたの質問には私には応えられないので、別の部署へ電話をまわすから待ってちょうだい、とのこと。しかたなくまた10分ほど待っていると、今度は電話そのものが待っている途中で切れてしまいました。仕方ないので、もう一度IRSへ電話して待つこと再び10分。今度は何とかright personに話が通ったようです。そこで、問題となっている、「私は日本からのfellowshipで生活していて、US incomeをもたず、1042SもW2も今年はもらっていない。だから課税はされていないが、substantial presence testによれば、私はresident alienになり、日本からのfellowshipも課税対象になると思うのだか、どうしたらいいだろうか」ということを尋ねました。しかし、そこではすぐに答えられないといわれてしまいました。でも、2日以内だったかの期限中に必ず電話で答えるようにするから、と言われて、数字7けたのconfirmation numberをもらいました。なかなか親切な女性で、僕の英語にもしっかり答えてくれ、また向こうの言うことも良く分かりました(というか分かるまでこちらも何度も確認した)。その方の名前を控え、もし何か質問があれば、IRSに電話してあなたと直接話ができるか?と聞くと、それはできないと言われてしまいました。従って、質問は今のうちでないと聞いてもらえません。新たな疑問が湧いたら、再びIRSに電話して、長い時間待たされることになります。できるだけ要点をまとめて、電話をかけることが大事です。
次の日の昼、大学に電話がかかってきました。その方のID番号と名前をまずきっちり控えてから、彼女の答えを聞きました。彼女によると、私はまだnon resident alienとして扱われるのだそうです。Publication 901のpage 20に、govermentからのgrantで研究をしている者は、最大5年の税金免除を受けることができる、とあるのです。またpage 38にあるtableでも、scholarship and fellowship grantはmaximun presence in US 5 yearsまで免税対象になる、と明記されています。Article 20にも同じことが書かれています。彼女の説明では、treatyにより、あなたはnon resident alienとして扱われる、とのこと。ただ、電話口では、ふうん、そうなのかと、納得したのですが、後でtreatyにはresidencyのことを一言も述べられていなかったことを見つけて、「treatyがそういうから、non resident」、という説明には納得できなくなってしまいました。でも、まあIRSがそういうのだから良いだろう、とだんだんめんどくさくなってしまい、言われた通りにすることにしました。ということで、私の日本学術振興会からの奨励金は、USでは非課税なのでした。IRSの女性がいうには、「非課税ではあるけれど、1040NR-EZで報告をしておいた方がいいわね」とのことでしたので、1040NR-EZおよび、form 8843(これはsubstantial testの結果を報告するものらしく、今回はいらないかもしれない)を書き、さらに、状況を説明した手紙(もちろん、返事をしてくれたIRSの女性の名前とID番号を添えて)を、4月8日に提出しました。返事の電話をくれた方も非常に辛抱強く、僕が納得するまで何度も同じことをくり返し説明してくれました。本当に感謝しています。
このように、実はIRSのヘルプセンターは結構使えます。滞在3年目になれば、電話での交渉にも慣れてくるでしょうから、自信を持って電話してみるのもいいかもしれません。ただし、少々時間はかかります。そして、質問はできるだけ簡単にまとめておくことをお勧めします。ちなみに、学振の奨励金は、学振側の説明では「雇用関係にはありませんので、お支払いしている滞在費は課税対象外となります」とのことで、日本からも税金がかかっていませんでした。このように、学振にも非常にお世話になりました。先週ようやく2年間の派遣期間の報告書をまとめあげ、発表した論文の別刷りを添えて、これも提出しました。時の経つのは本当に速いです。あっという間に3年が過ぎ、実はこの4月19日で、滞在4年目が始まりました。心にいろいろな決意を秘めて、再び頑張りたいと思っています。