留学生活の始まり |
まずは留学先を探します。自分がこれからどういう分野で研究をやっていきたいのか、どんな分野をのばしたいのかをよく考えてください。海外の全く見知らぬ土地で、数年間Scienceを中心とした生活を過ごすわけです。人生の中でも非常に重要な時期に当たりますから、留学にはそれなりの覚悟が必要です。数々の試練を乗り越えられるだけの目的意識を持つことが一番大事ではないでしょうか。そして、たいていの人が英語圏へ行かれると思いますが、英語はできるだけ上達しておいてください。英語ができると、やはり留学生活が何倍も楽しく、かつ有意義に時間を過ごせると思います。僕自身は英語がへたくそなため、今現在結構苦労しています。分野が決まったら、じっくり行きたい研究室を探しましょう。国際学会に参加する機会があったら、積極的に自分を売り込んでおきます。また、研究室や学科にセミナーに来られた先生方にも、日頃から積極的に質問したりして接しておくと、顔を覚えてもらうことができ、留学先を決めるときにもプラスに働くでしょう。実際、積極性というのは大きいポイントのようです。
さて、行きたい研究室が見つかったら、CV (curriculun vitae; 履歴書) を書いて相手の先生に送ります。良いにしろ悪いにしろ必ず返事が来ます。よい返事であれば、VISA の申請に必要な書類を集めます。ポスドクの場合は、J-1 VISAを申請することになります。その際、最も重要なのが、受け入れ先から送ってもらう書類である、IAP66です。これは、財政保証書のようなもので、受け入れ先がスポンサーになっていることを証明する書類であり、これがないとVISAの申請ができません。通常作ってもらうのに1月ほどかかります。なかなか送ってくれないときは、催促するとよいでしょう。VISAの申請は自分でもできますが結構面倒だと聞いていたので、僕の場合全て代行業者に任せました。(株)業務渡航センターでは12.600円で代行申請してくれます(約一週間で手元に届きます)。ただし、代行料金以外にビザそのものにもお金がかかります(45$)のでご注意ください。
無事ビザが取得できたら、出発の日程を組み、航空券を手配します。また、行った当初の生活をどうするか、ボスと相談しましょう。僕の場合、先生のご両親のお宅にStayさせてもらい、その間にアパートを見つけました。その時に、最初の1ヶ月分の生活費がどれくらいかかるか聞いておき、資金の準備をします。おそらく最も大きな支出はアパートの契約金でしょうから、アパートの相場などを確かめておきます。僕の時は、VISAと一緒に送られてくる書類にアパートの平均値段が書かれていました(One-bedroom; $443, Two-bedroom; $517, Three-bedroom; $660、など)。というわけで、僕の場合は多めですが結局30万ほどを準備しました。そのお金は、CITIBANKのWorld Cashという貸金庫に入れておき、現地で現金として引き出せるようにしておきました。World cashは開設にはお金がかからないこと、最低預金金額などの指定がないこと(CITIBANKの銀行口座の場合は、常時30万円の預金がなければ口座を維持できません)、たいていのアメリカのATMマシンで引き落とせることから、おすすめできる便利なシステムです。また、クレジットカードは日本で作っていない方は作っておいた方がよいと思います。僕の場合は住友VISAカードを持っていたので、それをそのまま持っていきました。引き落とし口座(東海銀行)も適当な金額を預金したまま残しておき、住所変更(実家)だけしておきました。現金は200ドルだけ持っていきましたが、World cashに入れておいたのであまり日本で買って持っていく必要はありませんでした。TC(トラベラーズチェック)は、こちらではほとんど支払いに使えないと聞いていたので、作りませんでした。それからラボの荷物を送らねばなりません。船便が最も安く、続いて飛行機の空きスペースを利用して送るSAL便、最も高いのが航空便です。それぞれ1月、2.3週間、1週間で届くそうです。僕は郵便小包(一箱あたり20kgが限度)を利用しましたが、運送会社を使っても送れるようです。後は、留学直後は緊張しているので大丈夫だと思いますが、何かあったときのために海外旅行保険に1ヶ月入っておくことをおすすめします。料金はだいたい12.000円ほどです。ええと、荷造りについてはまた後ほど報告します。ということで、留学前にしておくことを以下にまとめておきます。
手続きチェック項目及び一言
IAP66申請 | 手元に届くまで約1月かかる |
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J-1 VISA申請 | 書類が揃えば1週間で取得可能、passport残存期間の確認、代行業者に任せるかどうか |
航空券の手配 | 同時に到着後の生活の予定を立てる |
現地の情報収集 | 到着直後の生活計画、住居などにかかる費用など |
資金準備 | CITIBANKのWorld cashは日本円を預けて現地で米ドルを引き落とせる、日本の銀行口座の手続き(残しておく) 現金はそれほど必要でない、TCはあまり使えない |
クレジットカード | 日本でVISAかMaster cardを作っておく、ただし日本の銀行口座からしか引き落とせない |
ラボ荷物の送付 | 郵便局(船便、SAL便、航空便)、日本の運送会社 |
保険 | 海外旅行保険に1月分だけ入っておくと安心 |
日本の学会の手続き | 海外に学会誌を送ってもらうと高くつく |
住民票の手続き | 海外転出届を各役所に出します |
年金の手続き | 国民年金は5年ほどの海外滞在であれば任意加入になります |
自動車の免許 | 国際免許証を持っておくとよいらしいです |
コンピューター | 日本語のシステムの載ったコンピューターがあると便利(メールなどが日本語でできます) |
荷造り | 僕の時はスーツケース1個とナップサック1個、大きめのバッグを1個の合計3個でした |