登山


みなさんこんにちは。もう8月になってしまいました。早いものです。先週はようやく実験結果が安定し始めてほっとしました。やはりなかなか結果がでないと焦りますね。勉強したいこともたくさんあり、気力は充実してきたような気がします。
さて、今回は先週の土曜日にラボのメンバーに山登りに連れていってもらったので、写真も交えてその話をしましょう。

いつも親切にしてもらっている大学院生のTimさんが、UndergraduateのJonさんと一緒にHikeに行くのでSeijiも一緒に行かないか?と誘ってくれました。Hikeという割には、高いところは苦手か、とか靴はしっかりした登山用のものを持っているか、とか聞くので少々とまどいましたが、せっかくのお誘いなので喜んでいくことにしました。朝7時にTimさんが僕のアパートまで来るまで迎えに来てくれて、そこから30分ほど車でSalt Lake City郊外のski areaの方角へ向かいました。ご存じの通りSalt Lake Cityは2002年のオリンピック開催地ですが、Skiの会場になるこのareaは夏には格好のhiking courseになっているようです。1月にskiに行ったsnowbirdというski場の一歩手前にある登山口で車を止め、Jonさんとそこで落ち合いました。登山口はまあ日本のそれとそう変わらないとおもいます。天気が良かったので、朝の空気はとてもきれいで気持ちが良く、わくわくしながら歩き始めました。確か出発が7時45分だったと思います。


登山口から少し行ったところにて。左がTimさん、右がJonさん。

最初のころはtrailと呼ばれる安全な山道で、森の中を景色を楽しみながら歩くことが出来ました。この辺の森は手つかずのものらしく、静かで厳かな感じがしました。動物はこの山道ではあまり見られませんでした。鳥や昆虫ぐらいかな。登山口から2時間ほど行くと、湖に到着し、そこで休憩しました。TimさんとJonさんは湖へ流れ込む川の水(とても澄んでいてきれい)をフィルターでこして、飲料水を補給していました。僕は前日にミネラルウォーターを1.5リットル買っていたので、それを飲みましたが、彼らのもおいしそうでした。湖は下に写真を載せておきますが、とても美しく幻想的です。釣りをしている人も結構いました。


途中で休憩した湖。これぞアメリカ、という感じ。

さて、湖を後にするとだんだん傾斜がきつくなり、また道も非常に細くなって、ここ本当に道なのか?と心配になるようなところをどんどん登っていきました。やがて森もなくなり、ごつごつした岩のまわりにちょっとだけ草が生えているようなところに来ました。驚いたことにこのあたりには雪がまだ残っているのです。確かにだんだん涼しくなってきたかなと思いましたが、傾斜がきついのと空気が薄いのとでだんだん歩くのがしんどくなってきていたため寒いとは思いませんでした。さらに少し行くと、非常に傾斜のきつい、手を使わないととても登れないようなところにやってきました。こんなきつい傾斜の山は今まで登ったこと無いんで、うそぉーと内心思いながら前をほいほい進んでいく2人を必死で追いかけました。転がり落ちたら大けがしそうなこの斜面を何とか登り切り、ほっとしていたら、隣にいたおじさんが僕に日本語で話しかけてきてびっくり。「ここ空気うすくてたいへんでしょ。もう3000メートルぐらいのところにいるよ。」と教えてくれました。彼はどうやらオリンピック運営の関係者らしく、去年は長野でトレーニングしてきたそうです。結構お年を召しているように見えるのに、ほいほい進んでいくのでびっくりしてしまいました。
さてここはまだ終点ではないのです。一応尾根のてっぺんに登ったらしく、そこからしばらくは平坦なところを進みましたが、今度は巨大な岩がいくつも連なった崖を進むことになりました。右も左も絶壁で、心の中では「まじかよ、ここいくんか?」と思いましたが、ともかく付いていきました。ゆっくり進めばそれほど怖くはなかったです。でも落ちたら絶対に死ぬだろうな、と思いました。やっとの思いで土のあるところへたどり着いたときは本当にほっとしました。しかーし。最終目標はその目の前にそびえ立つまたもやごつごつの石と草の生えた急斜面の頂上だと知らされました。Timさんが、「選択肢は3つ。ここで引き返すか、登るか、Seijiだけここで待つか」というので、半泣きになりながらも「行くしかないっしょ」と答えて、登り始めました。もうこのころになると半分やけくそで、怖さも麻痺した状態です。


半泣きになりながら山頂を見上げた図。写真の左側を登っていきました。

30分ほど頑張ると、待ちに待った山頂へたどり着きました。野生の山羊がみえたり、いたちがひょこっと顔を出したり、なんだかとうとう登り切った僕らを歓迎してくれているみたいでした。山頂にたどり着いたのは確か12時だったと思います。この山はpepper hornと呼ばれ、標高約3200メートル、登山口からは約4000フィート登ってきたことになるそうです。さすがに景色は抜群で、Utah Lake, Salt Lake,遠くProvoの街やSalt Lake Cityも見えます。風は涼しくて心地よく、とても充実した気分に浸ることが出来ました。山頂でお昼ご飯を食べました。TimさんとJonさんはnutsやビーフジャーキーなどを食べていましたが僕はおにぎりとフルーツを用意してきました。このフルーツが本当においしかった!


山頂に着きガッツポーズを決めている筆者。奥に見えるのはUtah Lake。

山頂では40分ぐらいゆっくりと過ごし、それからもと来た道を帰ることになりました。下りは登りにくらべると楽ではありますが、怖いのでかがみ込みながらゆっくりゆっくり降りていきました。しかし、今回一番怖かったのはこの後の巨大岩の絶壁の帰り道でした。行きはスイスイと来れたので帰りもそんなに怖くないだろうと思っていたら大きな間違い。進んでみると足が届かないところに来てしまって引き返さなければならなかったり、本当に足がふるえるような思いをしながら進んでいきました。僕が本当にこわごわ進んでいると前を進んでいる二人が、「Seiji、今の顔は傑作だよ。こっちにたどり着くにはこの崖の部分をぶら下がりながら進まないといけないんで、そのとき写真を撮ってやろうか」というので、「冗談でしょ、こんな怖いところで写真なんて撮る余裕ないよぉ」と思いましたが、せっかく言ってくれたので頼むことにしました。下の写真は、この日一番怖いところを通っている僕の写真です。


巨大岩の連なる崖にぶら下がるようにして進んでいる筆者。ちょっと見にくいけど顔は半泣きです。

やっとの思いで最初の湖までたどり着き、ほっとしましたが、ここで小休止した後の歩きは疲れているために非常にしんどかったです。3人ともほとんど会話をせず、ひたすら進みました。家にたどり着くと4時45分だったと思います。あまりにも疲れたので、いったん横になって寝た後、シャワーを浴びました。そして、当然のようにその後3日は筋肉痛でした。水曜に写真ができあがり、ラボのみんなで見て、特に僕の岩にしがみついている写真で大笑いしました。受けてよかったけど、ここまで身を削った事は今まで無かったです。後で聞いたのですが、Timさんはあの後ラボに寄って仕事をしたそうです。アメリカ人の体力は信じられないものがありますよ全く。

そんなこんなで、非常にエキサイティングなハイキングでした。楽しかったけど、しばらくはあんな怖い思いはお休みしたいですね。とほほ。ではまた来週。

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