新聞に見る日本像


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さて、あるホームページに、「英語の力を伸ばすためにはインプットが重要である。生きた語彙を増やすには新聞を読むのが良い」とsuggestされていたので、この頃時間があるときには新聞を読むようにしています。このあたりでは、The Salt Lake Tribuneという新聞が大手のようで(他にもUSA Todayなど)、僕はこれを読むようにしています。今回は、「新聞に見る日本像」と題して、新聞に時々書かれている日本のことについて書いてみたいと思います。

日本のことは時々新聞に取り上げられています。そちらではきっと大きな話題になっているであろう、全日空機のハイジャック事件はこちらでも一面の右隅にかかれていました。先週の広島原爆記念日のころには、広島を調査した軍人さんの話(その方はWorld War IIの後に退役し、ハト派上院議員として有名らしい)が載せられていました。でも今回お話しするのは、World欄に大きく載せられていた、「富士ロックフェスティバル99 in 苗場」についてと、一面左のdaily columnに書かれていた「日本のTVshow」の話です。

「富士ロックフェスティバル」の方については、world欄に頭をshakeしている若者の大きな写真とともにど真ん中に書かれていました。このコンサートは苗場で3日間行われ、woodstock'99に参加したBritish or American bandsが来日して演奏するかなり大きなものだったようです。今年の本場のwoodstockコンサートでは、大騒ぎした観客が放火したり、ものを壊したり、レイプがおきたりと、ものすごいことになっていたみたいですが、それと比べると日本人はおとなしい、というのが主な論調です。サブタイトルに、Rock festival lacks sex and drugs, and when it's over, everyone cleans up.とあるように、無茶するアメリカのそれに対し、日本のスタイルは全く違うもので、その差が興味深いというわけです。読んでいて知ったのですが、sexとdrugはアメリカのrock'n' roll lifestyleと言えるらしく(may be)、そこには反逆精神があって、古いものを壊して新しいものを作っていく原動力になる、ということのようです。が、日本の場合は、現在の日本の不況をうち砕くためのパワーとロックコンサートの熱狂はどうも結びつかない、という書き方がされていました。インタビューをしても、反逆を好む人はほとんどいなくて、自分の道を切り開く願望の持ち主には出会わなかった、と書いてありました。まあ、これはきっと大げさに書いてあるんでしょうけれど、確かに日本人の一面をとらえているような気はしました。でも、今の若い人たちはもっとハメはずすの上手だと思うけどなあ。日本は確かに若い人たちにとっては夢を持ちにくいところがあるとは思いますが、ひとまとめにこのように書かれるとどうも気に食わないものを感じます。日本人でもパワーを持った若い人がどんどん出てきているのも確かなことだと思いますけどね。ただ、本文ではコンサートの模様が日米の比較をしながら細かく取り上げられており、とても興味深いものでした。どうでもいいことかもしれないけど、コラムを書いた人には「男の子は男の子同士、女の子は女の子同士でかたまっていて、まざりあうことがなかった」こと、「とても熱くなっているのにブラジャーをはずす女の子がいない(おいおい!)」ことは不思議なことのようでした。

もう一つの話題は、テレビ東京で春から放送されていると思われる「Fabulous stingy family」(日本語のタイトルが分からない)という番組で、牛乳パックを使って、たったの3500円で自分の棺桶を作ってしまったおじいさんが登場した、という話です。これは新聞の一面にどーんと載せられていて、なんやこれ、と思いましたが、どうやらこのコラムで言いたかったことは、日本人は金持ちなのに貯金をする、ということのようです。決して生活が苦しいから貯金をするのでなく、貯金をするのがライフスタイルなのだ、ということが説明されていました。その極端な例として、この番組で取り上げられている「異常なほど倹約する人たち」を載せているのです。(他の国から見れば)リッチな日本人の貯金を消費に回して、アジア全体の経済を上昇させようというのがどうもアメリカの主張したいことのようです。そしてここでも日米比較がなされていて、「日本人は金持ちをバッシングする。金持ちであることは尊敬されない」と書いてありました。また、どうでもいいことですが、「電波少年(Electric radio boy)」が日本のNo.1 showとかかれていて、「なすびの懸賞生活」のことが書かれていました。

以上、二つの例を挙げましたが、こうして海外から日本を眺めてみると、やはり日本とアメリカでは考え方がずいぶん違うのだな、と改めて認識させられます。生活そのものは日本とそんなに変わらないし、むしろ日本の方が電化製品などは進んでいるような気がします(こちらでは携帯電話はあまり普及していないし、電化製品は日本製のものが多数売られていて、しかもその値段は結構高い)。けれど、そこはやっぱり日本ではない別の文化を持つ国だけあって、日本では当たり前のことがこちらでは通用しないことが結構あります。そう、考え方が違うのです。「郷に入っては郷に従え」なので、今はこちらの考え方を出来るだけ吸収するようにしています。痛感するのは、アメリカではそれぞれがそれぞれの価値観で暮らしている、ということでしょう。みんながある一つのことに集中しない。逆に言えば、それぞれが自分のスタイルを持ち、周りを気にすることなく生活している。どちらかというと個性的であることが良い方向に受け止められない日本とは、違うなあと言うわけです。ただ、それが本当によいかといわれるとまだ分かりません。しかし、これからの国際社会の中で生活して行くには、色んな考え方の持ち主と出会い、お互いの考え方を尊重しなければ仕事は進んでいかないのではないかと思います。

というわけで、実験や研究のことだけ考えるのではなく、せっかく海外にいるのだから国際社会の中での日本人としての自我というものを、これからは考えて行かねばならないと思いました。今週はここまでです。

追伸
 先週のThe Salt Lake Tribuneの日曜版、PARADEでは、僕の好きな女優のCourtney Thorne-Smith(Ally McBealのGeorgia役)の特集が載せられていました。それによると、彼女は1967年11月8日生まれで、独身だけどフィアンセ(genetic scientistらしい)がいるそうです。ううーん、残念。でもやっぱりかわいい!

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