2008年 4月15日


寺島くん
Science Vol.319 No. 5861, 5869を紹介
p323、プラナリアを使ったWntシグナル下流因子の解析で、b-Cateninが関わっていることがわかった話。切断したところから目が発生してくる不思議さが昔から興味深かったのですが、これから因子が次々と同定されてくるのでしょうね。p1536、アルコールを求める行動が弱められるらしい、LY686017という化合物が見つかった話。マウスを材料にして発見されてきたようですが、実際人間にも用いられる日がいずれ近づくのでしょうか?

湯浅くん
PNAS Vol.105 No. 12を紹介
p4609、細胞内でベシクルが輸送されるとき、異なる方向を向いて働く分子モーターがどようにして調節され、最終的に目的地へ効率よく運ばれるのかを、これまでにわかっているパラメータをもとにモデル計算を行って考察したという話。p4691はp4609と似たような話だが、myosin Vとkinesinを用いて計算ではなく実験で考察している。Qドットをベシクルの代わりに利用し、microtubuleやactinのlayerの上を走らせるのだが、2種の異なるモーターがあるとprocessibilityが上がるという説明だったが、もう少し実験の背景や具体的な操作を説明してもらわないと、何が新しくわかったことなのかがわからない。次回に期待したいところです。

滝口金吾さん
EMBO Vol.27(1),(5)を紹介
いくつかご紹介された中で、私が一番印象に残ったのは、p143のtrypanosomeのミトコンドリアDNAが非常に密に集まっている写真でした。こんなに固く密に集まっているkDNAをどのようにしてほどき、複製して子孫に伝えて行くのか、非常に興味深いです。この研究ではRNAiにより複製がおかしくなる個体を探して、p166という名前の蛋白質が密に詰まったDNAをほどくのに重要らしい、ということがわかってきました。前回私が担当したNatureでも、原生動物の繊毛虫を用いることで、RNAの新しい機能が見いだされたこともあり、扱いにくいこれら「原虫」を研究することで、これからも新しい概念が見つかって行くのかもしれませんね。

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