2005年 7月25日
○ 楠本さん
結核菌の感染因子 結核菌のvirulence Factors、CFP-10とESAT-6の複合体の構造と機能についての仕事。これまでこの複合体は宿主の細胞の膜に穴を開けるのだろうと考えられてきましたが、どうもそうではないらしいとのこと。
やはりきちんと確かめないと・・・、いままで蛋白やペプチドと膜との相互作用を直接観てきての素直な感想です。
EMBO, Vol. 24, No. 11, Renshaw et. al.

○藤井君
大腸菌は右側通行
大腸菌を狭い通路状の空間内でswimさせると9割近くの菌が右側の壁の沿って進むとのこと。底の方から離れるに従ってその割合が低下するとの結果があるので、smoothに泳ぐとき鞭毛がCCW回転しているのが原因かな?
ところでこの現象は通路を造る素材にも影響を受けるらしいので、将来、細菌の集合離散をこれでコントロールできたら面白かろうとひそかに思いました。
Nature, Vol. 435, No. 7046, DiLuzio et. al.

○ 本間さん
tRNAの遍歴
tRNAが転写された後、RNAの不要な部分が切り出されて四つ葉のクローバー型構造になるには、ミトコンドリア外膜に存在する酵素が必要。なのでtRNAは一旦核外に出て!、そしてまた核内に戻っていき?、そして最終的に細胞質内で働く!。
分子も細胞も人も、成熟のためには旅が必要なのか・・・はともかく、こんなこともまだ分かっていなかったんですね!!!
Science, Vol. 309, No. 5731, Takano et. al.

○ 瀧口陽子
アクチン線維のATP Cap
たびたび分子第三に遊びに来てくれていた早大・石渡研の藤原さんの行った、アクチン線維1本1本の伸び縮みの観察結果などをもとにした理論計算の論文。
まだまだ微妙に実験結果との間に差があるみたいですが、アクチン線維にもGTP CapならぬATP Capがありそうだとの結果が出ました。さて本当のところはいかに?!
PNAS, Vol. 102, No. 24, Vavylonis et. al.

○ 谷ヶ崎君
Nodal flow
広川さん岡田さんのグループによる胚発生時における左右軸決定に関する仕事です。鞭毛は均等に回転しているのになぜ片側方向だけに流れが出来るのか?答えは、鞭毛自体は細胞表面から垂直に生えているものの、細胞自体または細胞の並び方に凹凸があるために、鞭毛が決まった向きに傾いて生えていて、そのために決まった向きにだけ流れが出来るということでした。
個人的には、この仕事まだ論文になっていなかったんだ!の印象です。
あと確か前回も谷ヶ崎君、岡田さん達の仕事の報告をしていたような?、そのときにはレチノイン酸の濃度勾配形成に関連しての論文だったように記憶していますが・・・
Cell, Vol. 121, No. 4, Okada et. al.



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