2006年 4月24日

川岸さん:Nature vol.440 no.7081 NV.153, L.224
アフリカ眠り病を引き起こすTrypanosomaのflagellaが自身の生存に必須である、という話。flagellaといっても真核の鞭毛です。あしからず。
Trypanosomaの鞭毛のproteome解析を行い、多数の鞭毛関連タンパク質を同定。それをRNAiで合成阻害したところ、血流中での細胞分裂が阻害され、致死となったそうです。これらのタンパク質がヒトの鞭毛タンパク質などとhomologyがほとんどなかったことから、選択的なドラッグの標的にできるのではないかというお決まりの結論で締めでした。
しかしこういう結論は水戸黄門の印籠のごとく安心感がありますが、また同時に歯痒くもあったり。

楠本さん:Science vol.312 issue.5772 pp.436, pp.452
RNAiによる外部感染への対抗2題。
pp.436はArabidopsis VS Pseudomonas、pp.452はDrosophila VS virusです。どちらも細菌あるいはウィルスの侵入に対してsmall RNAを産生し、対抗するというものでした。
いやー植物でも昆虫でも考えることは同じですね。あれ?それとも分化する前から持っていたのかな?その辺はどうなんでしょう。

仁くん:PNAS vol.103 no.10 pp.3610
DNA修復酵素の一つ、BER酵素は広範囲のDNAを監視するために電子のやりとりを利用しているらしい、という話。
BER酵素であるMutY/EndoIIIはDNAに結合することで還元型から酸化型になり、遊離した電子がDNA上をスキャンして行きDNAの損傷箇所を探すというモデルが提示されてました。
しかしDNA上をそれなりの距離電子 (酸化還元状態)が伝達するというのはなんとなく信じられません。これは自分が仮説に縛られた人間だからでしょうか…。

滝口(金)さん:EMBO J. vol.25 no.4 pp.673
複数のvesicleが連続的にexocytosisを起こすときに、個々のvesicleがどういう風に振舞うのか、という疑問に一つの解答を示すものでした。
詳しい機構は分かりませんが蛍光物質の二段階励起を利用することでより細かく解析することができるようになったらしいです。結論は、個々のvesicleがいちいち標的の膜に融合するのではなく、先に標的に融合したvesicleに次のvesicleが順次だるま状に融合していく、とのこと。
その際2つ目以降が融合する時のt-SNAREをどう調達するのか?という話になってましたが、個人的には1つ目が融合したときに標的の膜から瞬間的にt-SNAREが拡散してくるんではないかなーなどと思ったり。いや想像ですが。

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