2006年 7月10日

初講評の和田です。速報の発表を聞いているとなんとなく中学高校時代のリスニングテストを思い出します。
それはさておき今週の速報当番の方は出張帰りの方が多かったですね。忙しい中、お疲れさまでした。
ところで教室の温度を22℃に保つのは地球環境に優しくないですよね、田島さん。

福岡さん (Nature: vol.441 (7095), vol.441 (7096)を紹介)
ゴルジ体の成熟の話(no.7095 p939)。ゴルジ体の小胞の形成について提唱されていた二つのモデル、「層成熟モデル」と「小胞輸送モデル」のどちらが正しいかを各小胞マーカーに蛍光分子をつけて調べてみたという話。論理が簡潔としていて分かりやすかったです。
今回は蛍光マーカーを利用した論文の紹介が多く、蛍光分子を使っている自分にとっては実に興味深かったです。

川岸さん (Science: vol.312(5781)を紹介)
二十面体のheadをもつP22ファージの構造をそのシンメトリーを利用せずに決定したという話(p1791)。特に重要だったのはheadの下部にあるportalの構造がわかったこと。portalが回転したりダイナミックな構造変化を起こすことで、DNAをheadにパッキングしたり、その後のファージタンパク質のアッセンブリを促進したりするそうです。nativeな分子を解析したことによって、シンメトリーのミスマッチの問題を解消できたことがウリのようです。

楠本さん(PNAS: vol.103 (17), vol.103 (24)を紹介)
バクテリオロドプシンを利用した膜輸送の話(No.17 p6460)。pH7以下でなければ膜挿入しないバクテリオロドプシンを用いてgeneサイレンシング能を持つタンパク質PNAを実際に膜内へ輸送できたという実験の紹介でした。
ロドプシンとPNAをS−S架橋でつなぐことで、膜内の酸性環境にさらされると架橋が外れてPNAが細胞内に放出されることを可能しているというアイディアが素敵でした。

ジンさん(CELL : vol.125 (7)を紹介)
中心小体をもたないかわいそうなハエの話(p1375)。DSas4-という変異体では中心小体が複製できないため、やがて消失します。しかしこの中心小体をなくした細胞でも分裂はできるようで、ちゃんと成虫にまで成長するそうです。ところがこのハエ、繊毛や鞭毛などが一切生えてこないため、触覚器が機能せず餓死してしまうそうです。しかも餌の山の中で。…なんというか、哀れです。

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