2008年 6月24日

本間さん:Nature vol.451 no.7178, vol.453 no.7191, no.7193
A型インフルエンザウィルスのM2プロトンチャネルの構造を結晶とNMRでそれぞれ別々のラボで解き、合わせ技でチャネルの開閉機構を示しました、という話。アマンダジン、リマンダジンという抗生物質が機能を阻害するようですが、それぞれ結合箇所が異なり、異なる様式で作用するようです。あと皆さんご存知神山先生のところのイカロドプシンの結晶構造の話。GPCRとしては3例目の結晶構造ですが、まだまだインパクトは大きいようです。

吉住さん:Science vol.319 no.5871, vol.320 no.5874
デング熱などを引き起こすFlavivirusのコートタンパク質のTM領域を除いた部分の結晶構造を解いたという話。コートの形態がpHに依存して変わるということが電顕単粒子像から分かっていたが、それをうまく説明できるように結晶構造を配置することができたらしい。prMという領域が切断されて除かれることで見た目の構造が変化して見え、かつこの切断イベントが感染に必須とのことですが、具体的にどういう機構で感染効率に影響を与えているのでしょうか。Campylobacterのべん毛繊維の単粒子像解析の話。大腸菌やサルモネラなどではプロトフィラメント11本からなるのが、この菌では7本からなっているようにみえた、とのこと。これが本当なら、D0ドメインの構造はどうなっているのか、多型変換はどうなっているのか、など気になることがたくさん出てきます。

小池くん:EMBO.J vol.27 no.12
大腸菌のTyr kinase、Etkの結晶構造を解きました、という話。細菌のTyr kinaseってあまり聞いたことないな、と思ったらやはりここ10年くらいで研究がされるようになってきたそうです。構造はヒトのTyr kinaseとは全く異なり、むしろATPaseであるMinDと非常に似て見えます。そこの関連も気になるところですが、高度に保存されるTyr574残基のmutagenesis実験から、真核生物のものとは異なりこのTyr残基1残基の構造的変化によってリン酸化活性が制御されているらしい、ということがわかったそうです。種が異なれば機構も異なる、ということでこの辺の話もこれからさらに研究が盛んになるかもしれませんね。

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