2007年 1月29日

なんだか今日の速報は3人ともsexualな話題を盛り込んで いてプチ生殖学会(あるかどうか知らないですが)みたいな感じになってましたが、こんなこともあるんですねぇ。なんかお告げでもあったんでしょうか。

滝口(金)さん Nature vol.444 no.7115, 7118, 7124

ある種の有袋類で一匹の雌と複数 の雄を交尾させたときに、ミックスされた精液の中から選ばれるのは個体として優れた雄の精子だという。どうやって選択するのかというのが疑問になるが、優 れた個体の精子はやはり優れているというすごい理屈で説明されるらしい。速度だか濃度だかは分からないが、精子の性質と個体の性質(そもそも何をもって優 れていると定義しているかも不明だが、外見的特徴だとすれば)に相関があるというのはにわかには信じがたい。
関係ないことだがこの話を聞いたときにホムン クルス(精子の中には既に小さなヒトの形ができていてそれが母体の中で大きくなるというアレ)の話を思い出したのは僕だけだろうか。

入枝くん Science vol.313 no. 5791

AcrBの三量体の結晶構造を、非対称性を保持したまま決定したという話。ご存知の通り村上さん のNatureの論文と内容はほぼ同じで、輸送基質の結合した状態の構造までだせたかどうかがNature当落の明暗を分けた ようです。
この前の学会でも話していましたが、既に解けている結晶構造では結晶の形の関係で結晶構造学的に絶対に三量体の非対称性が得られないものだった ため、異なる形の結晶を得ることが必要で、それが非常に苦労した様子。メカニズムとしては各アイソマーが協調しながら3つのフォームをローテーション で切り換えていくことで基質をくみ出すというエレガントなもの。
個人的には'functional rotation'というフレーズがこのメカニズムの性質をよ く表していてお気に入りです。

楠本さん PNAS vol.104 no. 3, 2, vol.103 no.52, 28

兄弟姉妹がいる場合に、兄がいる 男だとhomosexualの確率が高いというなんとも眉唾な話。アンケートに基づいて統計を取っているようですが 論文をチラッと見た感じでは本当にそれだけっぽい。
こんな論文が通ってcommentaryまでついてしまうところにPNASは一体どうしてしまったのかという疑念が浮かんできます。

発表では触れられてませんでした が104 (2)には難波さんのところのFliIの結晶構造の論文が出ています。念のため。

BACK