2007年 2月 5日

今日は微妙に人が少なくて教室が少し寂しげでしたね。朝早くから用意されたレジュメが速報終了後にも幾部か残っているとそこはかとなく哀愁が漂います。
まあそれはさておき。

伊藤さん:Science 5792, 5801
全国のウニマニア、ウニ研究家には嬉しい報告。ウニのゲノムプロジェクトが完了し、いろいろと興味深い知見が得られたそうです。特筆すべきは生体防御に関する遺伝子群で、先天的免疫に重要なレセプター(TLRとかSRCRとか)の遺伝子ファミリーをヒトの100倍近くもっているとか、ウニは抗体を作らないはずなのに抗体産生に関与している遺伝子をもっていることなどが新しく分かったそうです。ひょっとしたら今後の免疫学研究にウニが一役買うようになるかもしれない…?
この他にもクロロプラストの分裂装置の話、ShigellaがType。SSからVirAを出しtα-tublinを分解する話など、なるほど伊藤さんらしい話題のチョイスでした。

小原さん:PNAS 103(48), 103(50)
リボソームがmRNAに結合してから開始コドンAUGにたどり着くまでの苦難を描いた話。リボソームがmRNAの5‘キャップに結合してからmRNAを引き寄せて、比較的近くにやってきたAUGに結合するモデルと、mRNA内に形成されたIRESという二次構造部分にリボソームが結合し、そこから最寄りのAUGを探すというモデルが挙げられ、それらのモデルを支持するデータが得られたそうです。5’キャップから遺伝子までの塩基数を増やしてやると、翻訳効率が減少するらしく、更にそこにIRESを形成させると効率がある程度回復するらしい。
サブタイトルは「開始コドンを訪ねて三千里」(嘘)

田島さん:EMBO 25(18), 25(24)
親切にも田中さんが贈ってくれたプラスミドの中には、Bucillus分裂時に均等に分配されるアクチン様繊維(Alf)をコードした遺伝子が含まれていた。bacterial actinと呼ばれながらも、本当にbacteria由来なのか不明な謎の繊維タンパク…。しかしてその実態は…?怪奇ミステリー。
冗談めかしく書きましたが、本当に田中さんから贈られてきたプラスミド、pBET131の中のORFにアクチン様繊維タンパク質(AlfA)がコードされており、そのタンパク質にGFPを付けてFRAPをやってみたり、変異を導入したりして、そのAlfAの挙動を調べたという話でした。でもこの遺伝子が何から由来しているのかが結局よく分からず、謎を残したまま報告は終了しました。
結局このプラスミドは何だったんですかね、田中さん…。

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