2007年 4月10日

さて、今年度も速報がはじまりました。
分4もメンバーが大きく変わりましたし、気分も新たに取り組みたいと思います。
これも感想に代わったことですし(と言いつつ書くことはあまり変わってませんが)。

伊藤さん:Nature 2007 vol. 445 no. 7123, vol. 446 no. 7134
protein phosphatase 2A複合体の結晶構造が解けた、という話。3つのサブユニットA,B,Cのうち、サブユニットAはHEAT repeatというモチーフを持っていることが予測されていたが、実際に解けてみるとAだけでなくサブユニットBも(pseudo) HEAT repeatを形成していることが明らかになったらしい。
しかしこんなa-helix richなリピート配列が予測できないものなのかなーと思ったり思わなかったり。ちなみにこのhelix-turn-helixの繰り返し配列はANK repeatにそっくりだけど関係はあるんでしょうか?

小池くん:Science 2007 vol. 315 no. 5810, no. 5809
H. influenzaeのABC transporterの立体構造を解きました、という話。大腸菌ホモログであるBtuCDでは既に構造が解けていて、それぞれ基質の通り道が内開き(inward)と外開き(outward)で異なるらしい。しかしその見た目上大きな違いは膜貫通ヘリックスの傾き具合などのわずかな差異によって実現されているとのこと。
例え二番煎じでも、特異的な違いがあって、その原因を論じることができるのならばまだまだ結晶構造に挑む意味はあるなあと思ったり。

楠本さん:PNAS 2007 vol. 104, no. 10, no. 11
大腸菌走化性リセプターTsrとscaffoldであるCheAWからなるマルチコンプレックスを直接見たという、cryo-tomographyのすごさを改めて見せつけられた一本。TsrとCheAそれぞれを認識する径の異なるゴールドを使って空間配置も押さえているあたり頷かざるを得ない。
BLAST meetingの報告でもありましたがリセプターのtrimer of dimers構造も視えてきているし、構造業界はまさにcryoEMが席巻しています。

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