2007年 5月29日

陽子さん (Nature: vol.445 (7126, 7127), vol.447 (7141)を紹介)
記憶の回復がヒストンの再編成に関係があるという話。神経変性疾患を誘導させたマウスは、おもちゃなどを与えたりするなどの環境エンリッチメントによりシナプス数が回復し、記憶力が甦る。この環境エンリッチメントはヒストンのアセチル化と相関があり、脳にヒストンのディアセチレーション阻害剤を投与するだけで、シナプス数が回復するらしい。ヒストンのアセチル化は遺伝子の発現を正に制御する、という話をどこかで聞いたことがありますが、アセチル化と記憶力の回復にどんな関係があるのか興味がある所です。
ちなみに正常な状態だとアセチル化を促進しても記憶力がさらに良くなるなんてことは無いんでしょうか。

楠本さん (Science: vol.315(5818), vol. 316(5821, 5827)を紹介)
少し前Yahooニュースにも載っていた話題のフロリゲンの話。シロイヌナズナにおいてFTという転写因子は、数年前から謎の植物ホルモン・フロリゲンの有力候補だったようですが、FTが師管を通って花ができるところまでやってくる様子を観察したという一本。さらに、葉に光があたる時間が数時間のレベルで認識されFTのレベルが上がったり下がったりするらしい。ほかの植物にはFTは効くのでしょうか。直後の論文ではイネのフロリゲン発見が報じられていましたが…。
ごく個人的には「犬の大きさ決め」の話がとても興味深かったです。私の家には同じ親から生まれた、かなり大きさの違う犬が3頭いますが、これもIGF1への変異の具合が違うのかなあと思いました。

本間さん(PNAS: vol. 104 (12, 13, 20)を紹介)
ナノインジェクター・カーボンナノチューブの話。カーボンナノチューブを膜に刺して、先に付けたcargoを膜の中にインジェクトする系を確立したという話。タンパク質をコーティングしたクウォンタム・ドットがニードルを通してヒトの細胞膜内に見事挿入された。これを使ったら本当にバクテリアに刺せるかもしれませんね。


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