2009年 7月6日

(一応速報まとめ役の)小嶋です。ここ最近、速報の開始時間になっても人が集まっていないことがあり、気になっています。休む人や遅れる人は、必ず小嶋まで連絡を下さい。速報を始める際に私の方からアナウンスします。貴重な時間を使っているのですから、聞く方も話す方も時間通りに集合し、気持ち良く速報会を始めたいと思います。どうかよろしくお願いします。

鈴木くん:Science #5933, 5934
葉がひらひらと落ちて行く時にどのような浮力を得ているのか、という話(p1438)、神経伝達物質の取り込みのイメージング(p1441)、そして豚インフルエンザのパンデミックとなった詳細の報告(p1557)などの話がありましたが、一番気になったのは、アミノ酸アンチポーターの構造の論文でした(p1565)。形は山下さんが解いたLeuTに良く似ています。ダイマーを形成するようですが、プロトマーの真ん中に穴があり、そこは非常に良く保存された領域のようです。この部分でアミノ酸の選択性を生み出しているようですね。私たちのPomB/MotBのように、電荷を持つアミノ酸が膜貫通部位に保存されていたり、これからの進展を見守りたいタンパクです。

野々山さん:PNAS Vol. 106 #19
3報話してくれたうち、Silhavy labのグラム陰性菌の外膜脂質組成を維持するための機構の話が興味を引きました(p8009)。このラボはアメリカ生物物理学会でも超有名な研究室です。以前こちらに所属されていた薬師さんが徳田研時代にやっていた、LolABCDEのシステムに良く似ているようです。リン脂質のtraffickingの機構はまだ分からないことが多いのですが、膜を介した輸送に関係するtransporterがあり、ペリプラズム空間を輸送するタンパクがあり、と因子は明らかになってきたようです。また別の経路(PldAを介するもの)もあり、 今回話題にしているMlaABCEDFの系の変異体からサプレッサーを取ると、PldAの発現量を上昇するものがとれてくるのだそうです。これからはどうやって脂質を二重膜から取り出して輸送するのか、そのメカニズムの解析になるのでしょうね。ところで、今日が野々山さんの速報デビューでした。始めての速報の発表でしたが、きちんと読んでいて頑張っていました。最初のイントロをもう少し丁寧にして、どの話をしているのか、何が新しいのかをまとめて話せるようになれば、もっともっと良くなると思いました。

北島さん:Cell Vol. 137 (#6, 7)
今回の話ではp1272の大腸菌を使って模様を描く、というプロジェクトが面白かったです。調べてみると、このグループは2005年にNatureのBrief CommunicationにNatureの字を浮き上がらせた大腸菌プレートを報告していました(Nature 438:441-442, 2005)。今回はそれを更に発展させて、光で模様を描き出すだけでなく、そのエッジを際立たせることに成功。Diffusionする転写因子を使ったところが賢い。しかも、CellとCellの間の距離が密になるところで働かせるためにQuoram sensingのfactor, LuxIを使っているところがうまいです。うなってしまいました。北島さんの説明も分かりやすくて良かったです。

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