2007年 6月26日
小嶋(誠)さん:Science 2007 vol. 316 no. 5822, no. 5824, no. 5825
言うまでもなく生命機能に極めて重要な脂肪酸合成酵素の構造解析の話。カビ由来の全長440KDaもの構造体の解析に成功したこともすごいが、最も重要なドメイン(ACP)の電子密度が解析出来ないと分かると、酵母由来の蛋白質でその部分を含む構造を出すのは圧巻である。ACPが周期性のパスを通って、脂肪鎖を付加し、グルグル回転するモデルはなるほどと思わせる。
おまけで出されていたアメリカでの道路ム道路間の距離を地図にマッピングする仕事で、綺麗にアメリカ中部に境があって面白かったです。確かにヒューストンから西に行くと何もなかったのを思い出しました。
湯浅くん:PNAS 2007 vol. 104 no.22, no. 23
Stromal Interaction Molecule 1(STIM1)の多量体化とPlasma Membraneとの相互作用をFRETを使って生細胞で観察しましたという話。
見えているメカニズムは4月に小原さんがNatureで紹介していた話と本質的に同じであるが、末端の塩基性残基に富んだ領域がOligomerizationに関係がないこと、OligomerizationとMembrane targetingの時間スケールを見ることができたことが新しい(と思われる)。
北島さん:Cell 2007 vol. 129, no. 5
翻訳停止に関わるReleasing Factor 3(RF3)のお話。終始コドンを直接認識するRF1とRF2を認識する蛋白質がRF3であるが、その結晶構造、変異体による活性変化を追いかけた。さらに、構造変化を見る目的で、Ribosome+RF3を電顕でみたところ、30sにも50sにも非常に大きな変化があったというところまで見ている。
PI3Kの話は、癌関連遺伝子Rasとの相互作用部位に変異を入れたマウスを作ると癌化は起こりづらくなるが生存率も下がるという話。生存率を高められれば遺伝子治療に使えそうですね。
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