2007年 7月 3日


和田くん (Nature 2007 Vol.446, No.7137, No.7144)
線虫でエサを制限すると寿命がのびるという話。酸化ストレス応答に関わるSkn-1とい う転写因子が重要で、Skn-1はASI neuronで発現している、という論文と、今まで Daf-16とco-regulateして寿命をのばすのに関係していると考えられていたSmk-1がエ サ制限による長寿命にも関係していたという論文。同時に2つ出てきたということです が、線虫の長寿研究はマウスに比べればやりやすいのでしょう。昔マウスで、あの 段々に下がっていく生存曲線を見ましたが、横軸が3年ぐらいの単位で、有意差を出せ る数のマウスを病気もさせずに3年間飼い続けるのは大変そうです。

伊藤さん (PNAS 2007 Vol.104, No.24)
交流電場をかけると分裂している細胞にダメージがあるという話は、最初、だから電 磁波は健康に良くないんだ、という結論かと勘違いしましたが、うまく使えばガン治 療に役立つという話でした。神経細胞はほとんど分裂しないので、脳腫瘍の治療で使えるというの には納得。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因となるCu-Zn-SODで、金属イオンがはずれてから凝集するまでの構 造のダイナミクスを見ています。アルツハイマーやプリオンなど、タンパク質が正常 でない折りたたみをするために起こるその他の病気にも重要な話です。

楠本さん (EMBO 2007 Vol.26, No.9, No.26)
ミスリーディングされたmRNAがどうやってとりのぞかれるか。翻訳が始まる前にmRNA が壊される経路はよく知られているが、これと別の経路を見つけたという話。こちら では、いったんペプチドの合成が始まってしまうらしいが、その後すぐ止まる。ただ 詳しいメカニズムは分かっていなくて、新しい現象を見つけただけらしい。
ビブリオのRTX toxinがどうやって毒性を示すか。タンパク質が勝手に膜に入り込ん で、勝手に自分自身を切断するのはおもしろかったです。GTP結合モチーフはないの に、どうしてGTP濃度が重要なのでしょう?ナゾですね。

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