2008年 7月8日

Science Vol. 319, Issue 5870, 5872 (須藤さん)
p 1679
ショウジョウバエの産卵場所の選択の話。
ショウジョウバエの行動生態学は、突然変異体を使った分子レベルでの解析も出来るので大変面白いのです(教養部生の時、研究の手伝いで実験やってました。懐かしいです)。しかし、そういえば、今まで「行動」と言えば摂食行動か生殖行動(matingの方)ばかりで産卵行動というのは聞いたことがありません!とても新奇で多分それで論文が通ったのでしょう。
実験では、何も無い時と苦み物質がある場合と糖があるところとで、各々比較しています。でも蝿の足の先端には味覚受容器がたしか4〜5種類有って、苦い、塩っぱい、甘い、旨いが分かるはずですので、出来れば塩とアミノ酸も使って実験してほしく思いました。後、実験装置の工夫、まだまだ足らないように思います。

PNAS Vol. 105, No. 26 (湯浅君)
p 8938
Kinesin-1の活性制御の話。
頭部に尾部の先端が直接結合してモーター活性を抑制することを、頭部のCys残基に導入した架橋性試薬に尾部の断片が結合することを見ることによって直接証明しています。ついでに電顕観察からそのときの構造もちゃんと明らかにしています。 平滑筋だったか非筋細胞だったか忘れましたが、Myosin-IIにも同じような制御を行うものがいて、相手が微小管かアクチンかの違いが有りますが、本当にKinesinとMyosinは似ているんだなと思った次第です。

後、もうちょっと他の論文も読むよう心がけましょう。

Cell Vol. 132, Issue 3-5 (伊藤さん)
P 462
CaMK-IIの活性制御の話。
CaMK-IIの自己抑制配列の直前にある2つのMet残基がROSによって酸化されると、活性がONになりっぱなしになり、最終的に心筋細胞がApoptosisをおこしてしまい大変なことになってしまう!2つのMet残基をValに置換するとそのような悲惨なことが起きなくなることからも確かめています。 では一体全体その2つのMet残基の意義は何なんでしょう?
その昔、分4にいた李蘭さんが、「なんでその菌はフェノールの方に誘引されてしまうのですか?」と学会発表の場で質問された時に「不幸な偶然だと思います」と答えて笑いを取っていたのをふと思い出しました。

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