2008年 7月15日

瀧口金吾さん Nature Issue 7188, 7201
Vol454:p209カレイ目魚類の眼窩左右非対称(左右対称の一般魚類から)の進化は漸進的であったという4,500万年前の化石証拠が見つかったようです。論文の想像図を見ると相当不便そうな形状です。化石が発見できるぐらいたくさんいたのですから、この始新世の環境には適応していたはずですが、いったいどういう良いことがあったのだろうか、と思ってしまいます。眼の位置の遺伝的支配は何によるのでしょうか?GCOEのシンポジウムで招いた新屋さん(魚類の相貌の研究)に尋ねてみたいですね。
Vol454:p177エボラウイルス表面タンパク質の構造が解かれました。アウトブレイクの生存者の持つ中和抗体との複合体を用いて結晶構造を解いたようですが、活性部位はたくさんの糖鎖に守られるなど抗体がアクセスしにくい(つまり直りにくい)ことがわかり、改めてウイルスの巧妙さとタンパク質の構造の関連に気づかされます。用いた中和抗体はアロステリックにcloseの状態にfreezeしてしまう「幸運な偶然」の産物でしたね。

須藤さん PNAS 105 (3),(5),(6),(8)
速報の原点に立ち返り、たくさんの論文のキモの簡単な紹介でした。短いと部外者にはわかりにくい場合もありますが、比較的丁寧に紹介された論文では、p1478のK channelのサブユニットstoichiometryを架橋剤の使い分けで調べた仕事が巧妙で面白く聴けました。発表中にもありましたが、この手の実験では最大公約数比(?)しかわからないと思いますので、4:2という比は以前からある生化学実験の結果などからの推測なのでしょう。p1009、炭疽菌のvirulenceに菌の生産するNOが働いているという話も今後の研究で経路がわかれば面白くなると思います。

湯浅くん EMBO 27 #7
論文のmotivationと要約を最初に話すようにしたのは大きな進歩だと思いました。原稿の棒読み調だと聴いていてもどこにアクセントがあるかわからないので、もっと自分の「話し言葉」で語るようにしてもらいたいと思います。p1134のフマル酸還元酵素のべん毛回転調節機構の紹介は既にコロキウムであったようなのですが、初めて聴く私には、フマル酸自身の回転方向調節データを載せてもらった方が研究の流れがわかります。p1145のRap-RapGAP複合体の構造解析の仕事も、Rapが細胞接着に働いていることなど、一般的な紹介が必要ができるようにintroductionを読み込んでください。

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