2009年 10月19日

(一応速報まとめ役の)小嶋です。今日は小池くんが風邪でお休みなので、急遽感想担当を交代しました。今日で名古屋にきてちょうど4年目となります(2005年10月19日から)。もう若くはないですし、がんばらなければと気を引き締めています。

本間さん:Science #5945, 5947, 5948, 5949
科研費や学会で忙しい中の担当ということで、苦労の跡がしのばれる発表でした。今回は瀧口さんの研究に関わる論文についての報告がありました。Fascinが、Rab35からactin bundlingへの一連のシグナルの流れに関与している論文(#5945, p1250)では、dominant negativeとなるRab familyのmutantを使って網羅的に調べ、ハエの足が折れ曲がってしまう変異体を発見したことが始まりでした。次に出てくるRNAiスクリーニングによるmitochondriaのCa2+/H+ transporterの発見(#5949, p144)もそうですが、ここ数年の傾向として網羅的に調べて行って新たな因子や相互作用相手を見つけ出す研究が本当に多くなった気がしますね。今回の一番面白かった話は、#5947, p1552のD-アミノ酸が定常期の細菌細胞の形態形成に関与し、特に細胞壁リモデリングに関係しているという話でした。異性体の混合比など、いろいろと気になるところです。

野々山さん:PNAS Vol. 106 #22
ペニシリン結合タンパク1bの結晶構造(p8824)は、1回膜貫通領域を含んだ阻害剤との奇麗な共結晶でした。今回は構造が解けたことの報告でしたが、構造から明らかになったことを次回はダイジェストで説明をしてくださいね。マウスの筋原細胞が融合するときに、Rac1とCdc42が関与していることが明らかになった仕事(p8935)では、ノックアウトマウスのテクノロジーがどんどん進んでいることを感じました。最近この辺りのことについては勉強不足なので、時間をみつけてフォローしたいと思います。最後に細菌の多剤耐性に関わる輸送体の話(p9051)。新しさは今ひとつ分からないものの、我々もよく使っているエチブロの排出には、細菌細胞においても複数の輸送タンパク質が関わっていることを改めて確認しました。野々山さんは今回が2回目の速報で、図の説明に一工夫あれば、もっと分かりやすくなると思います。次回を期待しています。

入枝さん:EMBO Vol. 28 (No. 13 & 16)
Nocが染色体上の特異的なDNA配列に結合し、細胞分裂と染色体分離を協調する際に重要な働きをするというお仕事(#13, p1940)。Nocがどんな因子なのかわからなかったのですが、きれいにDAPIで染まっている部分の真ん中に局在を検出できていました。染色体上には70数カ所のNoc結合部位があり同定されていました。結構大変な仕事ですが、一昔前に比べるとそうでもないのかもしれません。同じ号のp1953では、ユビキチンE1の祖先に当たる細菌タンパクMccBの結晶構造が報告され、MccBはホモダイマーでペプチドクランプドメインを両端に持ち、アデニル化の部位はE1に非常に良く似ていたそうです。機能解析も変異体を使って調べられており、かなりきっちりした仕事という印象を受けました。他にも、線虫において、ドーパミンはオクトパミンシグナルを抑えることによってfoodシグナリングを行っているらしいという話や、クラスリンを介した膜トラフィッキングにOCRLというかなり大きな分子が膜近傍にあり、そのN末端部位のNMR構造が報告されていました。今回から2年半ぶりに速報を担当した入枝さんでしたが、久しぶりということもあり、少し細かく説明を入れすぎたかなと思いました。次回はエッセンスをしぼった発表を期待します。

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