本間先生:Nature Vol. 464 #7285, 7293, 7294
今日はメタゲノムの話からスタート。ILLUMINAという次世代シークエンサーを利用してトータルで570 Gbpの配列を読み、ヒトの腸内にはどんな微生物が要るのかカタログを作ろうという話(#7285 page 59)。かつて32Pでラベルしてシコシコ読んでいた当時からすれば、ものすごい技術革新です。わかったことは腸内にはやはり細菌が一番多いことですが、それでも大腸菌は(いるのでしょうけれど)少ないようです。続いて、#7293 page 1386のGタンパク質共役型受容体活性化の話。非天然アミノ酸を導入することで、狙った位置にラベルを入れてIRでアミド信号を検出し、膜貫通ヘリックスの動きを時間を追って解析することが出来るようになったらしい。PomA/Bでも、構造が分かった暁には、このような解析が行えるようになるのでしょう。まだまだ先ですが。。。他にもゼブラフィッシュの走化性の話、Titinのような弾性をもつタンパク質をGB1タグをもとに作成したという話など、盛りだくさんでした。時間切れで名大・農学部のお仕事は説明まで至らず、残念でした。
入枝さん:PNAS Vol. 107 #13&14
10報と、とてもたくさんの論文が紹介されました。おつかれさま。その中でも、#13 page 5961の視覚回復の話が良かったです。ロドプシンに変異P23Hが入ると視覚を失ってしまいますが、ERシャペロンBipを大量発現すると桿体細胞のアポトーシスが抑制され、その結果ラットで視力回復の指標が上昇したとのこと。目の不自由な方に遺伝子治療が行えそうということで今後に期待できます。また、#14 page 6134のMinタンパク質の細胞内振動現象が、細胞のサイズに依存するという話は、載せてくれた図がとても奇麗で説得力がありました。どんなメカニズムで振動の閾値が決まって来るのでしょうか? そして、#14 page 6258で調べられた、隣接するコロニーが融合しないのは、そのエッジのところでプロテアーゼがうまく働くように制御されているという話。これもすごく奇麗なデータで、自然界って本当にうまく出来ているなぁとつくづく思います。
今日はお二人とも読んでいる数が多く熱心な発表で、充実した速報会だったように思います。ただ、時間をもう少し意識していただければなお一層良かったかもしれません。