2012年10月15日

本間さん
Science no. 6099, 6100, 6101

no. 6099 1228
細菌の社会的行動についての論文。海水から細菌約170種を単離して、2種をco-cultureして生育に阻害が起こるかどうか調べたらしい。170?169/2≒14,000もの組み合わせで実験していると思うと気が遠くなる。僕もそのくらいの根気を持って実験したいです。sensitive, resistant, producingの三すくみの関係は知っていたが、自然界では1つの種が社会的な集団を形成しており、それぞれの細菌が異なる抗生物質の耐性を持っており、役割を分担しているということは初耳だった。

no. 6100 1333
シロイヌナズナの木部形成についての論文。木部では液体輸送を促進する開口した穴(open pit)が散在している。木部で発現するROP(Rho family GTPase)をスクリーニングした結果、MIDD1と呼ばれる微小管結合タンパク質によって微小管が不安定になり、open pitが形成されることが分かったようだ。MIDD1の異所的な発現によって木部細胞に分化したことも示されていた。

no. 6101 1532
ダイニンモーターについての論文。クライオ電子顕微鏡を使って、微小管とそれに結合したダイニンを観察している。微小管結合部位(MTBD)とATP結合部位が離れていることに関してはよく分からなかったが、low-affinityとhigh-affinityのダイニンで微小管への結合が異なっており、このような構造変化が起こって運動しているのではないか?という話だったと思う。

西垣くん
PNAS no. 28, 29

no. 28 11150
ATP synthaseについての論文。F型ATP synthaseはFoとF1の2つの部位から構成されており、Fo部位のc subunitは生物によって数が異なる。この研究ではホウレン草の葉緑体と酵母のミトコンドリアのATP synthaseをプロテオリポソームに再構成して、葉緑体由来のものはおよそ4分子、ミトコンドリア由来のものはおよそ3分子のプロトンが1分子のATPの合成に必要であることが示唆され、この違いはc subunitの数の違い(葉緑体由来のものは14, ミトコンドリア由来のものは10)によるものなのかもしれない。

no. 28 11156
ナタマイシンについての論文。ポリエン系の抗生物質は細胞壁の漏出を促進することによって細胞を死に導く。その一種であるナタマイシンがどのように菌に効いているかはよく知られていなかったが、RIでラベルしたアルギニンやグルコース、プロリンを用いた実験によって、ナタマイシンがトランスポーターによる取り込みを阻害することが分かった。

no. 29 11480
V. choleraeの多様性についての論文。ハイチでは2010年に地震やハリケーンにより大きな被害が出て、コレラ病が流行した。ハイチで発見されたcholeraeのゲノム解析や系統学的な解析を行った論文だったように思うが、よく分からなかった。

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